■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第四十話 今度こそ、違うよって
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した。ユイが再びホロキーボードに手をかざすと、フロー図の『保存』が再び濃くなった。
「つまり、おじちゃんの障害は『保存』によるものではなく、『再生』によるものなんです。簡単に言いますと、『覚えてるけど思い出せない』という状態なんですね」
フロー図の『再生』の文字が薄くなり、赤いばってんが付けられた。
「つまりですね。おじちゃんの記憶は『再生』のトレーニングによって改善が見込めるかもしれないんです。昨日のフラッシュバックもそれを証明しています。つまり、全て忘れてしまったわけではなく、記憶が戻ることもあり得ます」
ユイが手を下ろすと、ウィンドウが消滅した。ミズキはぽんぽんとユイの頭を叩きながら彼女を褒めた。
「ありがとな、ユイ坊。そいで、具体的にトレーニングっつーのは何をすりゃーいいんだ?」
「おじちゃんがいっつもやっていることですよ。毎日の日記を付け、忘れた時に思い出す手がかりにする。この繰り返しによって『再生』は鍛えられます」
「ん? それじゃ、俺はいままでだってずっと『再生』のトレーニングをしてたことになるんじゃねぇか? なんでよくならねぇんだ?」
「心因性の記憶障害が『再生』機能の回復を阻害していた可能性がありますね。そちらのほうが回復した今、おじちゃんを縛るものはありません。少しずつ、よくなっていくといいですね」
「おう、そうか。そりゃ楽しみだ」
ミズキはいつもどおりの大声で笑った。
――事故が引き起こしたのは、悪いことばかりじゃなかった。俺がこんなふうに笑い合えるのも、あの事故があったからだ。
ミズキはマルバの楽天的思考がうつったかのように、初めて事故のことを前向きに考えた。
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