■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第四十話 今度こそ、違うよって
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ズキ、まるで人事みたいに言うね」
「まぁな。ところで、なんでいきなりそんなことが起こったんだ?」
「兄さんが心因性の記憶障害の原因を排除したからだと思われます。ミズキさんが心の奥に負っていた傷を、兄さんが癒したんですよ」
マルバは照れたように頭を掻いた。
「なんかそんな言い方、照れるなぁ」
「お兄ちゃん、赤くなっちゃってかーわいー」
「葵、茶化すなよ」
じゃれあう兄妹をさておいて、ミズキはふと気づいたことを尋ねた。
「ユイ坊、ちょっといいか」
「なんですか?」
「俺の記憶障害、心因性のものだって言ったよな」
「そうですね」
「それが良くなったってことは、俺の記憶に『事故で人を撥ねた』っていう情報が記録されていたことになるよな」
「はい、そうなりますね」
「……いいか、俺が『事故で人を撥ねた』って知ったのは、当たりめぇだが事故後だ。そいで、事故後にはすでに俺は記憶障害を負っていたはずなんだ」
「それがどうかしま……あ!!」
「おう、気づいたか。さすがだな」
「ちっとも気づきませんでした……!! こんなんじゃMHCPとして失格ですね……」
「そんなことねぇさ。ユイ坊はよくやった。偉いぞ」
ミズキがユイの頭を撫でるていると、アイリアが横から尋ねてきた。
「ミズキ、どういうこと? 私にはさっぱりなんだけど……」
「そうだな。ユイ坊、こういう説明は得意だろ? ビシッと決めてくれや」
「ビシッ、ですか? よく分かりませんが、頑張ってみますね。……ええと、『記憶』というのは3つのセクションの集合体なんです。『記銘』、『保存』、『再生』の3つです」
ユイが手をかざすと、ウィンドウが現れた。ユイはホロキーボードに手を触れると、タイプすることなく情報を入力する。ウィンドウに流れ図が表示された。上から『記銘』、『保存』、『再生』と書かれていて、それぞれ順に矢印で繋がれている。
「体験は、『記銘』という働きによって脳の海馬という箇所に記録されます。そしてそれは一定期間『保存』されます。そして記憶が必要になった時、『再生』によって思い出されます。ミズキさんの記憶障害は『保存』される期間が短くなってしまったために起こったのだと私は思っていました」
フロー図の中央、『保存』の文字が薄くなった。マルバとアイリアはよく分からなそうに表を見つめ、ミズキは偉そうに腕を組んでユイの説明を見守る。
「ところが、おじちゃんの心因性の記憶障害はですね、『事故の後、つまり前向性健忘を患った後に“自分が人を撥ねた”と知った』ことが原因だったんです。つまり、おじちゃんは事故後のことを覚えているんですよ」
ユイの目の前で兄妹は揃って目を丸く
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