暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第四十話 今度こそ、違うよって
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 コンコン、とノックの音が響いた。ああ、入っていいぞ、とミズキの声が答えた。
 マルバはゆっくりと扉を開き、中のミズキ、アイリア、そしてユイと対面した。

「ミズキ、具合は……?」
「ああ、大丈夫だ」
「脳波も安定しています。相変わらずα波は観測できませんが」
 ミズキの返事にユイが補足を加えた。
「そっか、ちょっと安心した」
 マルバは力なく笑うと、ベッドに腰掛けたミズキと向かい合うように椅子に座った。
 しばらく無言が続いたが、ミズキが口を開いた。
「ああー、なんだ。悪かったな、心配させて」
「いや、いいんだ。心配することくらいしかできなかったしね」
「……そうか。いや、そうじゃねぇ。俺が言いたいのはそんなことじゃねぇんだ……。俺は……。俺は……ッ!」

 ミズキは急に口調を荒げると、ベッドから身を投げ出すように土下座した。マルバとユイは驚き、固まってミズキを見つめた。アイリアはというと、ミズキを優しい目で見つめている。
「ミズキ、一体何を……?」
「俺はッ! ……お前に、謝らなくちゃいけねぇんだッ!! 俺のせいで、お前は半身不随になったんだろ? 俺のせいでお前の人生は狂っちまった。こんなところに来て、出られなくなっちまったのも……ッ、全部ッ、俺のせいだ……ッ!!」

 ミズキの叫び声がこだまし、マルバはため息をついた。
「ミズキがそれを言っちゃうの?」
「……それは、どういう……?」
「どういうもこういうもないよ。葵から逃げていた僕に、君はなんて言った? 若いっていいねえ、とか、俺にとってはそんなの青春の一ページに過ぎねぇよ、とか言ってたよね? 君は今、葵と同じ立場に立ってるんだよ? なんでそういうふうに葵と同じ反応するの?」
「アイリアと俺じゃ、全然立場が違うだろうが! 俺がいなければ、事故自体起こらなかったんだから!!」
「いんや、同じだよ。君さえいなければあんな事故は起こらなかった。葵が近道をしようなんて言い出さなければあの事故は起こらなかった。そして、僕さえ寝坊しなければ、近道を使う必要なんてなかったんだから。僕達はみんな、あの事故の被害者に過ぎないんだよ」
「そんなこと……! トラックを運転していたのは俺だっていうのに……!」
「だからなんだっていうの。交通弱者を守る会でも設立する気? 歩行者の方が弱いんだから車は歩行者に対して責任を取らなきゃいけないって言うわけ?」
「ああそうだ、そうだよ! 車には歩行者を守る義務があるんだ! 俺はその義務を怠った!! だから俺はお前に謝罪を……! 謝罪を、させてくれ!!」
「させないよ。だって、僕は君を恨んでなんかいないんだからね。あれは不可抗力だった。君は事故の加害者じゃない、被害者なんだ。運が悪かっただけさ。刑事責任だって問えないよ、急性心不全なん
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ