第一章 無印編
第二十二話 『外伝3 夜の一族とシホ、真実を語る時(後編)』
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のものは片付けましたから後は…」
「幹部格とそのリーダーをすべて捕まえればミッションクリアと言うことになるな」
「はい。それじゃ少し待ってください。この建物を少し調べます」
シホは壁についている端末に手をつけて「解析開始」と呟いた。
そしてこの建物の構造をすべて解析していき奴等の集まっている場所を特定する。
「…恭也兄さん。場所がわかりました。裏道も発見したのでそこから部屋に侵入しましょう」
「わかった。でも、この建物をすべて解析するとは…シホちゃんはすごいな」
「これが数少ない私の取り柄ですから。さ、いきましょう」
シホは気にしていない素振りで先に進んでいった。
だが恭也は内心で「そんな事無いぞ。シホちゃんは十分頼りになるから」と思っていた。
同時に「シホちゃんはどうして自身の力を誇れる事が出来ないのだろう」と…少し疑問に思ってしまっていた。
だが一度の油断が命取りな場で考えこんでいたら逆に荷物になってしまうと思ったのでシホの隣にすぐに追いついた。
そして二人はその場所に着くと息を潜めて中の会話を聞いていた。
『なに…失敗したのか?』
『へい…ただの小学生と思ってやしたが月村とは別に“人外のガキ”がいたらしく逆にしてやられてしまったようで…それに部下も一人捕まってしまいやした』
『馬鹿な…月村以外に“化け物”がこの町にいたというのか…。これでは迂闊に手を出すことはできないな』
『ボス、さすがに今回はこちらの分が悪いですぜ。うちらの部隊を撤退にまで追い込んだほどの“化け物”相手に月村にも同時に攻められたらさすがに…』
中ではおそらくシホの事を口々に畏怖が込められた中傷の言葉が何度も交わされていた。
そして、家族の事を罵られて黙って聞いていられるほど恭也の忍耐は厚くなかった。
つい手を出そうとし、動こうとしたがシホの片手に止められた。
(シホちゃん、行かせてくれ! さすがに我慢できない!)
(私は大丈夫ですから…だからもう少し我慢してください…)
(しかし…!)
恭也ははちきれん気持ちで一杯だった。
もしシホの静止がなければ中の奴等全員をなぶりになぶっていただろう。
だがそこでボスらしきものの口から、
『ならば月村に関係が深い高町とバニングスという家のものを人質に取ればさすがに手がだせんだろう?』
『そうですな…。部下達に報告しておきますぜ。今はこのアジトに全員いますから早々に手が打てることでしょう』
シホは「これで裏取りは取れた。もう全員お縄になっているのに馬鹿な人達…」と冷笑した。
恭也はその一言にまたシホの裏の顔を見てしまって渋い顔をして、
(シホちゃん…君は、どれだけの闇を抱えているんだ?)
と、哀れみの視線をシホに向けた。
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