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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
TF・T「覇王、月音!」
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の身長は一九〇センチ。見上げるほどの巨体に思わず砕蔵が怯んだ。しかも発せられる威圧感が半端ではない。ヤクザなど児戯にも等しい。
「汝、我が金銭が欲しいと申したな……。良いだろう、くれてやる」
月音は徐にポケットへ手を突っ込むと、鷲掴みにした硬貨を取り出した。
「受け取れぃ」
「ぶべっ!」
無造作に取り出したそれを砕蔵の顔に押し付ける――否、押し当てる。張り手のような一撃に砕蔵の顔が陥没し吹き飛んだ。
弾丸の如く吹き飛んだ砕蔵は教室の壁を突き破り、隣のクラスの壁も突き破り、さらにその隣のクラスの壁も突き破り、ついには学校の外へと身を躍らせた。
チャリンチャリン、と硬化が床に散らばる。突き出した手を戻しながら、月音は再び席に着いた。
「銀貨三銭、冥途には不要よ」
再び瞑想する彼に声を掛ける勇者は誰も居なかった。
† † †
【第二巻より石神瞳編】
陽海学園では事件が頻繁に起こる。そして今回は女子連続失踪事件というものだった。
放課後、部活動である新聞部に集合した月音たちは各々の席に座り、部長の森丘銀影の話を聞いていた。この場には青野月音、赤夜萌香、黒乃胡夢、仙童紫、そして顧問の猫目静の六名が集っている。
月音は相変わらずの腕を組んでの瞑想スタイルで話を聞いている。
「最近学園の女子が次々と学園内で行方をくらましとるらしいんや。一月で七名。ウチでの行方不明はそない珍しくないが、これはどう考えても異常やろ! この事件の真実をウチら新聞部で暴くんやっ!」
各々校舎を回り情報収取に励む。美術室に赴いた月音はそこで奇妙な気配に気が付いた。
「何奴!」
振り向き際に振るった腕から迸る拳圧が、掃除用具入れのロッカーの扉を吹き飛ばす。中から現れたモノを目にし、月音の目が微かに開かれた。
「むぅ、これは……!」
現れたのは石造だった。女性を模した石造は石であるにも拘らずその目から一筋の涙を零している。しくしくと悲しい気配に月音は眉を顰めた。
「ぬぅ、これはまた面妖な……むっ、この者、失踪リストにあった者ではないか」
銀影に渡された失踪者のリストの顔写真と目の前の石造の顔が月音の脳裏で一致した。
「――おい、私の芸術(アート)に何をしてるんだ?」
唐突に背後から声を掛けられた。抑揚のない声音に月音はゆっくりと振り返る。
「やはり、貴殿が犯人であったか……石神教諭」
「犯人? 一体何の話だい?」
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