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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十四話「決意」
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置となった肩に乗ったハクが首を傾げた。


「あの青野という人間が渡した封書を今も持っているようですけれど、千夜はこうなることが分かっていたのですか?」


「それは邪推というものだ。ただなんとなく、彼がこのまま去るとは思えなくてな。一応、これは受理せずに取っておいたんだよ」


 懐から取り出したのは一通の封書。彼が俺に渡してきた退学届だ。あの後、受理せずに預かっていたのだ。本人にも「預かっておく」と言明したから嘘ではない。


「それで、彼はどうするのですか?」


 ハクの視線の先には気絶から目を覚ました小宮が頭を振っていた。


「さて、それを今から決めるのさ」


 木から飛び降り小宮の側に着地する。突然現れた俺たちに小宮が目を剥いた。


「こんばんは」


「て、テメェ……何しに来やがった」


「何しに来た、か。それは君が一番よく理解しているのではないかな? この学校にはやんちゃな生徒が多くてな、今回のような騒動が頻繁に起こるんだ。教師としてはそれを見過ごせなくてね。そんな生徒たちをしょっぴくのが、先生なのだよ」


「に、人間風情が、俺に指図するんじゃねぇ……」


 立ち上がった小宮が威嚇してくるが、そよ風にも劣る威圧を受け流して近寄る。


「生徒に指図するのが教師だ。間違った道を進む者を正すのも聖職者の役目。子供を叱るのも大人の仕事だ。そこに種族など関係ないよ」


 俺が袖を捲ると、ハクが肩から飛び降りる。


「さて、では君のような困った生徒は指導しないとな。もう二度と弱い者イジメをしないようにしっかりと」


 押し殺していた怒気に気が付いたのか、目に見えて小宮の顔色が変わった。


「なっ、まっ――」


「それと、一言君に言いたいことがある」


 後ずさり背を向けて逃げようとする小宮の頭を掴む。ひぃっ、と息を呑む声が聞こえた。


「貴様……なに俺の可愛い妹に言い寄ってるんだっ! みっちり教育指導してやるから覚悟しろッ!」


 掴んだ頭をそのまま地面に叩きつける。


 一夜に掛けて、男の叫び声は途切れることはなかった。


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