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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十四話「決意」
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フン、貴様が弱すぎるだけだ。それより――誰の許しを得て私の名を口にする」


 モカさんから何とも言えない圧力が放たれる。空間がピリピリと震えた。


「な、なんだコイツ……! なんなんだこの妖気は!」


 吃驚する小宮が一歩二歩とよろめく様に後退した。それを見たモカさんが冷笑を浮かべる。


「どうした、はぐれの。私が欲しいのだろ? その自慢の力で奪ってみるがいい」


「う……うぉおおおおおお!!」


 小宮の右腕がさらに膨張した。渾身の力を込めて振り下ろされる平手をモカさんは難なく受け止める。


「ば、馬鹿な……、なんでビクともしねぇんだ……っ!」


「この程度の力で私が欲しいと豪語し、月音に手出しをするか。身の程を知れ」


「うおっ」


 モカさんが手を引くと小宮の上体が泳ぐ。間髪入れずに左の回し蹴りが小宮の頬に突き刺さった。


「ぐぁああああ!」


 地面と水平に空中を滑走する小宮は進路上の木々を薙ぎ倒し吹き飛んでいく。墓石をその身で細かな破片に変え、轟音を響かせて地に伏せた。


「すごい……」


 あの巨体をまるで紙のように吹き飛ばしたモカさん。その圧倒的強さに開いた口が塞がらなかった。これがバンパイアの力なのか!


「フン」


 気絶する小宮を一瞥したモカさんが俺に向き直った。


「……モカさんゴメン。俺、モカさんに酷いこと言って……」


 赦してもらえるか分からないけど、俺は深く頭を下げた。


「あんなことを言ってむしが良すぎるかもしれないけど、気が付いたんだ。俺、弱くてなんの取り柄も無い人間だけど……、人間とか妖なんて関係なく、モカさんと友達になりたい。たとえバンパイアでもモカさんと友達でいたいんだ」


「……」


 黙って俺を見下ろしていた萌香さんが踵を返した。やっぱり、許してくれないのかな……。


 ポツンとその場に突っ立っていると、前を歩くモカさんから声が。


「何をしている、帰るぞ月音」


「えっ、あ……うん!」


 慌ててモカさんの背中を追いかけた。


「それで、許してくれるのかな……」


「……そのくらい察しろ、馬鹿者」


 前を向く萌香さんの耳は少しだけ朱色に染まっていた。





   †                    †                   †





「……どうやら、事も無く収まったようですね」


「だな。まあ、あの萌香に友達が一人増えたんだ。兄としても教師としても祝福しよう」


 仲睦まじく歩いて去っていく二人を木の上から見届ける俺に、定位
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