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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十四話「決意」
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を覗かせる。視線の先には銀髪の美少女であるモカさん。そして、あの小宮がいた。


 モカさんは顔をしかめて傍目からでも機嫌を損ねていると分かる。対して小宮は例のニヤニヤとした笑みを浮かべてモカさんを眺めていた。


「月音を狙うのは何故だ」


「んなの決まってんだろ。お前が欲しいからだよ! お前みたいな極上の女の側にあんな糞がいると無性にムカつく。だから教えてやってんだよ。お前みたいなクズはモカに近づくべきじゃないってな。クズはクズがお似合いだとよ!」


「ゲスが……。私は誰と居ようと私の勝手だ。あいつは私の友だ、奴に手出しをすることは許さん」


 ――……!


 衝撃的だった。まさかモカさんが俺を友達だと思ってくれていたなんて露にも知らなかった。


 人間だからモカさんたち妖とは違うんだと一方的に壁を作り逃げ出したのに、彼女はそんな俺を蔑視することなく友達だと言ってくれる。


 ――情けなかった、自分が。


 ――逃げ出した自分が恥ずかしい。


 それを自覚した時、どうしようもない激情が俺の胸中を荒れ狂った。


「はははは! ちょっとばかし校則違反だけど楽しもうぜ、モカよぉ!」


「ふん……。私の友を侮辱した罪を思い知れ」


 言い寄る小宮。その身体が膨張して分厚い筋肉が浮き彫りになる。これが妖怪……!


 正直、恐いという気持ちはある。当然だ、こっちはただの人間で学生なのだから。


 けれど、ここで逃げたらきっと後悔する。先生が言っていた『悔いのない選択』という言葉が脳裏に浮かんだ。


 ――モカさんを助けなきゃ!


 その一心で、俺は物陰から飛び出した。


「モカさん!」


「月音!?」


 驚愕の表情で振り向くモカさん。苦虫を噛み潰した顔で小宮が睨んだ。


「またテメェか、クソ虫……モカには近づくなと忠告したはずだぞ!」


「も、もも、モカさんが、い、嫌がっているだろ……! モカさんから、は、離れろ……!」


 震える足を叱咤してキッと小宮を睨む。


「あん? 離れろだぁ? テメェ……誰に向かって口きいてやがる! そんなに死にてぇなら、今すぐ殺してやるよ!」


 振るわれる拳。到底避けられるスピードではないが、目を瞑るのは嫌だった俺は閉じそうになる目を意地でもこじ開けた。


「……私を無視するとは余裕だな、小宮」


 眼前で踊る銀髪。いつの間にか眼前に移動していたモカさんは、その小さな手で倍以上はある小宮の拳を片手で止めていた。


「なっ……、俺の拳を受け止めただと!?」


 目を見開く小宮にモカさんが鼻で笑う。



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