Mission 1 精神が……?
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かしたら声も出ないほどに泣いているんじゃ……
心配になり、ぐるっと振り返ると目の前には竹刀が迫っていた。
「戦闘で一撃を入れたからと気を抜くのは感心できないな」
そんな言葉と共に三発の衝撃が体を襲った。
あまりにも速く、速い。それしか言えないほど、ただただ速かった。
まさに音速と呼んでいいほどの速度にキレだった。
「しかし、この竹刀というのは扱いにくいな。振っても刀身がしならないのか……距離が測りにくい」
「なっ! そこまでの技を誇りながら扱いにくい!?」
「あぁ……かな…り、扱いに…くいぞ?」
なんだか竹刀が震えてる?
よく見ると体全体が震えてないか?
まさか泣いているのか?
「まさか…泣いてはいないよな?」
「泣いてない、断じて泣いていないぞ。痛くなんてない、ホーキの攻撃なんて痛くなかった」
「正直に言ってみろ。私は別にバカにしたりはしない。泣きたい時は躊躇わず泣け」
歩み寄り、昔、姉が私にしてくれたようにアンリエットの頭を撫でる。
泣きたいときに泣かないのは辛いものだ。色々と溜まるからな。
こうして後ろに立ってみると、アンリエットは意外と……小さいんだな。
「うぅ……痛い。痛いんだ、ホンネぇ」
「私は布仏ではない。だがまぁ、今回は許してやろう」
感情の起伏がおかしいだろう。先ほどまであんなに澄ましていたのに終わった途端にこれか?
まるで感情を制御できていない、例えるなら赤ん坊のような精神ではないか?
縋るように頭の上の手を掴んでくるアンリエットに対しそんな印象を受ける。
「ほら、ちゃんと歩けるか?部屋まで案内してやろうか?」
「おね、おねがい…する」
「どこだ?」
「A棟…3階左フロア突きあたりから三番目だ」
「ん!? 本当にそこであっているのか?」
「間違…いない……ヤマ…ダもそう言っていたし、先ほど……ホンネと…制服も置きに行った」
私と同室じゃないか。確かに今まで一人ではあったが同居人がアンリエットとはな。
色々大変そうだ。まぁそこらの男子とは違って同室になっても怖くはないが。
時間も時間だし、アンリエットもこんな状態だ。道着だがどうでもいいだろう。
「私と同じ部屋だ。ちょうどいい。ほら、もう帰るぞ」
「グズッ……了解……した」
手を引くと強く握り返してくる。
一瞬胸がときめくが、別に私にショタコンの気なんてないぞ、断じて無い、無いったら無い。
重要な事だから再三言うが無いったら無いんだ。
「ホーキぃ…痛い」
あっ、別にショタコンでもいいかもしれないな。
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