第百六十四話 混戦
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方達、全て見ていましたね」
自分に問うてきたイーグレット達への言葉である。
「全て」
「その通りだ」
「見ていた」
「全てな」
「なら問題はありません」
落ち着いた声での言葉であった。
「後はです」
「後は」
「どうするつもりだ」
「撤退です」
ここでアーチボルトが言った言葉は意外なものだった。
「全軍撤退です」
「撤退だと」
「これでか」
「次で決めればいいだけです」
やはり落ち着き払った声であった。
「ですから今はこれで」
「そうか」
「わかった。それではだ」
「ヴォータン=ユミル」
アーチボルトは彼にも声をかけてきた。
「貴方もこれで」
「下がるというのか」
「はい」
そうだと告げるのであった。
「これでです。宜しいですね」
「わかった」
彼は反論することなく頷いたのだった。
「それではだ」
「では全軍撤退です」
今度は全軍に告げたのであった。
「去りましょう」
こうしてシャドウミラーは退いた。これはロンド=ベルにとっても意外なことだった。
「!?イーグレットの奴等を出さなかった!?」
「何故だ?」
「ずっとあそこに置いたままで」
「次だっていうのかよ」
アラドはいぶかしむ皆の中で呟いた。
「だからだっていうのか?」
「次でっていうと」
「ああ、そうだろうな」
ゼオラに対しても答えるのだった。
「次でな。間違いなくな」
「仕掛けて来る」
「あのイーグレット達でな」
彼はこう確信していた。
「どういうやり方かはわからねえけれどな」
「だとしたら一体」
「それはわからねえさ」
「けれどなのね」
「ああ、間違いないだろうな」
アラドの確信による言葉が続く。
「その時にこそだ」
「やりましょう、冗談抜きでね」
「そうよ。シャドウミラーともそろそろ決着をつける時が来るわね」
オウカも二人に言ってきた。
「そしてアインスト達ともね」
「そうですね」
ラトゥーニもその通りだというのだった。
「そしてゲストやインスペクターとも」
「戦いはまだ続くわ」
しかしなのである。
「それでも彼等との戦いはね」
「じゃあ」
また言うラトゥーニだった。
「その戦いに向けて今は」
「キールに戻りましょう」
最後にオウカが言ったそうして今はキールに戻る。それは新たな戦いへの休息に過ぎなかった。ほんの一時の。
第百六十四話完
2009・11・8
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