第十七話 甲子園にてその二十二
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「相手ピッチャー焦るわね」
「ストライク取りに来るか」
「で、そのストライクがね」
里香はピッチングの話もした。
「どうしてもストライクが欲しいから」
「甘いボールになるんだな」
「そこが狙い目になるわね」
目を光らせての言葉だ。
「しかも今ピンチだし」
「余計にだよな」
「こういう時に打たれるのよ」
こうも言う。
「特に負けていてのピンチだと」
「フラグ凄い立ってるわね」
彩夏はこの状況をこう表現した。
「阪神にとって」
「阪神にとってはいい意味でね」
「広島にとっては悪い意味よね」
「ああ、そうね」
景子はここで三塁側、向かい側を見た。見れば。
広島ベンチは強張り広島ファンは蒼白になっている、この状況は彼等にとってはかなりまずいことは事実だった。
「広島だったら凄いことになってるわね」
「マツダスタジアムね」
「そう、あそこだったらね」
「カープねえ。実は私嫌いじゃないのよね」
琴乃はこのことも言った。
「というか結構好きよ」
「私も。カープはね」
そしてそれは景子もだった。
「幾ら負けてもカープはね」
「嫌いじゃないわよね」
「ヤクルトもね」
実は阪神は暗黒時代ヤクルトに徹底的にカモにされてきた、惨敗に惨敗を重ね続けてきているのである。
「横浜も中日も」
「巨人は別にして」
「巨人はね」
琴乃もこのことを言う。
「あのチームだけはね」
「違うからね」
「どうしても好きになれないのよ」
「必死に努力しても好きになれない相手っているのね」
景子は巨人を通じてこのことを理解していた。
「やっぱり」
「そうみたいね」
「さて、投げたわ」
景子の言葉と共にカープのピッチャーが投げた、そしてだった。
それは里香の予想通り甘いボールだった、真ん中低めのストレートだ。
新井のバットが一閃した。
ボールは左中間を割った、鳥谷は一気にホームまでいった、これで三点目だった。
ここで広島のベンチが動いた。
「ピッチャー交代ね」
「そうね」
里香は琴乃の言葉に頷く。
「間違いなくね」
「ううん、もう一点欲しかったけれど」
「四点ね」
「三点あれば大きいわよね」
「ええ、かなりね」
二点よりも遥かにだというのだ。
「ピッチャーのあの調子なら」
「いけるのね」
「ええ、いけるわ」
そうだというのだ。
「多分だけれど」
「ホームラン打たれなかったらいいけれど」
ここでこう言ったのは景子だった。
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