第十七話 甲子園にてその二十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ホームラン二十五本でね」
「打点三十七ね」
「阪神に若しいたら」
里香は戦慄さえ感じた。
「もう無茶苦茶になったと思うわ」
「そのバッティングで守備もだとね」
「ええ、守備も大事だから」
このことも重要である。
「若し守れないとね」
「サードって大事だし」
「そこが穴だったら困るでしょ」
「ええ、確かにね」
「だから古木さんじゃなくて新井さんで助かったわ」
まだずっとましだったというのだ。
「そう思うわ」
「その新井さん打ってくれるかしら」
カウントはワンストライクツーボールになっていた。
「ここは」
「どうかしらね、本当に」
琴乃も言う。
「フォアボールもあるけれど」
「若しも」
里香は最高の望みを言った。
「ホームラン出たら」
「その時は、よね」
「四点よ」
二塁にいるその鳥谷を見ての言葉だ。
「それだけあればね」
「もう勝てるわよね、絶対に」
「若しあの人が急に崩れても」
そうなってもというのだ。
「中継ぎ、抑えがいるから」
「勝てるわよね、阪神だと」
「例えJFKがいなくても」
この頃の中継ぎ、抑えがやはり最強だった。
「阪神は本当jにピッチャーはしっかりしてるから」
「何時でもね」
「勝てるわ、それでね」
「本当にピッチャーには困らないけれどね」
あの日本一の頃は弱体と言われてはいた、しかし実はそれは先発が打たれていただけでやはり中継ぎ、抑えはよかった。
「けれどいてくれてるから」
「四点があれば」
「勝てるわ。というかね」
また切実な顔で言う里香だった。
「阪神はいつも四点取ってくれていたら」
「八十勝いってるわよね」
「優勝してたわ」
そしてだ。
「クライマックスシリーズでも勝ててるわよ」
「阪神って四点以上取られる試合少ないからね」
琴乃もこのことに気付きだしている。
「四点も、ていう位に」
「昔のパリーグとは正反対にね」
かつてのバファローズならこれが違う。
「六点取られて八点取り返して」
「豪快ね」
「また追いつかれて引き離してとか」
「それ何処のチーム?」
「昔のバファローズよ」
やはりこのチームだった、その頃の親会社は近鉄である。
「そんな野球だったのよ」
「ある意味羨ましいわね」
「強かったけれどね、あの時のバファローズは」
「今はあんなのでも」
パリーグの横浜と言われている、まさに凋落だ。
「昔は強かったのよ」
「昔は、って」
「阪神もそうなって欲しくないから」
また切実な顔になる里香だった。
「頑張って欲しいわ」
「やって欲しいけれどね」
「本当にね。さて、と」
またボールだった、これでワンストライクスリーボールだ。
「あと一球でフォアボ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ