第七話 夜天、遺失物
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ツ。」
『Ja.(はい)』
「……そこまであっさりと肯定されてもそれはそれで、って感じがしてまうんやけど……。」
ひさめがクロイツと呼びかけたのは、彼女が右手に持つ、円環をあしらった十字槍の騎士杖のことである。
それを正式名称シュベルトクロイツと言い、八神はやてが愛用したデバイスである。
元々意思を持たないデバイスであったが、ひさめが所有者となってからデバイスと会話する誠也とアリスをうらやましく思って、男性人格を搭載した。
そして、シュベルトクロイツと言う長い名前で呼ぶのを嫌ったひさめがクロイツと愛称で呼んでいるのである。
『Es ist wahr.(事実です。)』
「ムムム………。」
愛機に辛辣な返事に何とも言えない苦い表情のひさめ。
釈然としない思いを抱きながら飛行していると、目的地の上空へとたどり着いていた。
「うーん………あんま人おらへんのかな?」
下を見ると、作業員らしき人が一人か二人いるだけで、ほとんど人がいない。
「とりあえず、聞いてみよか。」
ひさめは展開していたバリアジャケットを解除しながら、人のいるあたりに着地する。
「こんにちは。本局から護送任務で来た八神ひさめいいます。担当の方はどなたですか?」
近くに居た女性に声をかける。
突然現れたひさめに対し、女性は怪訝な目で見ていたが、ひさめの所属を聞いて、納得したような表情を浮かべた。
「ああ、あなたが今回担当してくださる局員の方なのですね。はじめまして、私はアーデル・スクライアと言います。今回の発掘の責任者の元へ案内しますので、ついてきてもらえますか?」
「お願いします。」
ひさめは女性の後ろについて歩いて行った。
ひさめは遺跡の近くに建てられている、研究所らしき場所をアーデルと名乗った女性と二人で歩いていた。
二人の間には特に会話などはなく、足音だけがカツン、カツンと響いていた。
ひさめはそんな沈黙に耐えられず、口を開いた。
「今回発掘を担当していたのはスクライア氏族やったんですね。」
「ええ。遺跡の発見から調査、発掘まで全てスクライア氏族で行っています。それにしても意外ですね。あなたのような現場の局員がスクライア氏族を知っていたとは。」
スクライア氏族は遺跡の調査、発掘を生業とする一族のことである。
その仕事内容からして非常に地味であり、裏方の仕事のため、関わりのある仕事についている人間でなければ、知っている人も少ないように思われてもおかしくない一族なのである。
しかし、ひさめは首を振って否定する。
「そんなことありまへん。遺跡を発見してからの調査、発掘までの完了期間は、発掘を生業にする一族の中で最短で、かつその仕事の完成度も非常に高いと、本局内では有名です。」
次元世界のは広い。それこそ時空管理局も未だに全容がつかみ
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