第二十九話 副将
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供扱いされている、あの時そう思った。
いきなりケスラーが笑い出した。皆が驚いて見守る中一人ケスラーが笑う。子供じみているとでも思ったか、不快感が身を包んだ。
「何がおかしい!」
我ながら険しい声だった。ケスラーは笑うのは止めたがおかしそうな表情をしている。むっとして睨みつけた。
「申し訳ありません。ですがブラウンシュバイク公が心配したのはミューゼル提督の事ではないと小官は考えます」
「……」
「公が心配したのはその場に居た三人の提督方の事でしょう」
三人? ケンプ、レンネンカンプ、ファーレンハイト? 何か有ったか? 周囲を見ると皆が何処となく納得した様なそぶりを見せている、キルヒアイスもだ。彼らには思い当たる節が有ると言う事か……。
「どういう事だ?」
「ケンプ提督、レンネンカンプ提督、ファーレンハイト提督、三人とも公に抜擢され少将から中将に昇進して艦隊司令官になりました。その事を大分意識しているようです、訓練も他の提督達に比べるとかなり早く終わらせています。焦りが有るのかもしれません」
「あ……」
思わず声が出た。そういう事か、ケスラーが何を言いたいのか、皆が何を納得したのか、ようやく分かった。公はあの時、俺に方針を伝えた後三人に視線を向け確認していた。あれは……。
「お分かり頂けましたか」
「ああ、卿が何を言おうとしたのか分かる様な気がする」
ケスラーの笑みが大きくなったが俺の腹立ちは治まっていた。
「武勲を上げようと焦るあまり無茶をしかねない、ミューゼル提督の指揮にも素直に従わない可能性が有る、そう思われたのでしょう。それ故敢えてその場で基本方針を示されたのだと思います」
「小官も参謀長の仰る通りだと思います、現場で混乱するようでは反って反乱軍に付け込まれかねません」
「そうかもしれない……。しかし、私はそれほど頼りないと思われたか。彼らを押さえられないと思われるほど……」
ケスラー、ミュラーの言う事はもっともだ。だがそれでも不満は有る。やはり子供扱いされている、年が若いから軽く見られるのか……。腹立ちは治まったが不満は残った、公に、そして三人に。
「そうは思いません。ミューゼル提督の方が階級が上ですし最終的には彼らも提督の指示に従ったはずです。しかし反発はしたでしょうししこりが生じる可能性は有りました。後々の事を考えれば決して良い事とは言えません。多分ブラウンシュバイク公はそれを考慮したのでしょう」
「……」
ケスラーの言葉に皆が頷いている。言っている事は理解できる。公が俺の立場を慮ってくれた事もだ。だがそれでも不満は消えない。
「不満に思うというのは我儘なのだろうな」
俺の言葉に皆が苦笑を洩らした、キルヒアイスもだ。分かっている、子供じみた不満だ……。
「その通
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