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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第二十九話 副将
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を握りしめた。

昂る気持ちをじっと噛み締めていると俺の耳にブラウンシュバイク公の声が聞こえた。
「ミューゼル提督、動向の掴めない反乱軍の艦隊ですが第五、第十、第十二の三個艦隊だそうです」
ブラウンシュバイク公の口調は何気ないものだったが司令長官室の空気は一気に硬いものになった。第五、第十、第十二……、いずれも反乱軍の精鋭部隊だ、油断は出来ない。

「反乱軍の中でも精鋭部隊と言って良いでしょう、油断は出来ません。それに他にも動員している艦隊が有るかもしれません。フェザーンは敢えて第五、第十、第十二の名前を出す事でこちらの注意を引きつけようとした可能性も有ります」
公はもう笑っていない。

「確かに」
「向こうに着いたらグライフス方面軍司令官と協力して反乱軍を撃退してください。留意すべきことはイゼルローン要塞の保持を第一とする事、むやみに戦線を拡大しない事の二点です、それ以外はミューゼル提督に一任します。質問は有りますか?」

「いえ、有りません」
俺の返事に公が頷いた、そして他の三人にも視線を向けた。誰も何も言わないのを確認するとブラウンシュバイク公はもう一度頷いた。
「ではミューゼル提督、後はお願いします。出立が何時になるか、決まったら教えてください」
「承知しました」

司令長官室を辞去し、ケンプ、レンネンカンプ、ファーレンハイトと一時間後にブリュンヒルトで打ち合わせをする事を決めた。それまでに彼らは自分の艦隊が出撃までどの程度の時間が必要か確認してくるだろう。俺も大体の所は分かっているが再確認しなくてはならない。

ブリュンヒルトではケスラー達が俺を待っていた。俺が司令長官に呼ばれた事はキルヒアイスが皆に伝えてくれていたから話は早かった。出撃を想定して準備に取り掛かっていたらしい。補給、さらに艦を離れている将兵を呼び戻すのに大体二十四時間必要だという。妥当と言って良いだろう。

司令長官室での事を皆に話すとブリュンヒルトの艦橋には興奮の声が湧き上がった。
「最低でもその三個艦隊が動いているのは事実でしょう。精鋭部隊ですな、反乱軍も余程の覚悟とみえます」
「油断は出来ません」
ロイエンタール、ミッターマイヤーの言葉に皆が頷いた。

「それにしても四個艦隊の指揮官ですか、ブラウンシュバイク公は閣下を信頼しておいでですな」
「……そう思うか、ケスラー」
俺が答えるとケスラーが妙な表情を見せた。ケスラーだけでは無い、皆が訝しげな表情をしている。

「何か有りましたか?」
「いや、司令長官室でイゼルローン要塞の保持を第一とする事、むやみに戦線を拡大するなと言われた。宇宙艦隊はまだ編成途上にある以上、当然ではある。だが私とてそのくらいは分かっている……」
俺は信用されていない、ブラウンシュバイク公に子
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