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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第二十九話 副将
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レンネンカンプも訝しそうな表情をしている。

公が視線をメックリンガー総参謀長に向けた。メックリンガーが頷いて後を続ける。
「ここ二週間ほど前から反乱軍の艦隊で動向の掴めない艦隊が有ると、フェザーンの自治領主、アドリアン・ルビンスキーからレムシャイド伯爵に連絡が有ったそうです」
ケンプ、ファーレンハイト、レンネンカンプの顔から先程まで有った訝しそうな表情は消えた。三人とも緊張を見せている、おそらくは俺も同様だろう。訓練なら良いがそうでなければ反乱軍の艦隊はイゼルローン要塞に向かっている可能性が高い。

「二週間ですか、となると……」
「あと十日もすればイゼルローン要塞に辿り着くな」
ケンプ、レンネンカンプ、二人が呟くような口調で言葉を出す。確かに、報せが事実なら彼らの言う通りだろう。オーディンからイゼルローン要塞までは約四十日、一月ほどはイゼルローン要塞は単独での防衛戦を強いられることになる……。

「しかし、二週間とは……。フェザーンからこちらへの報告が随分と遅いと思いますが……」
俺が問いかけるとブラウンシュバイク公が笑い出した。
「フェザーンの言い分では確認をしていて手間取ったのだとか……、なかなかうまい言い訳ですね」
笑っているのは公だけだ。他は皆顔を顰めている。やはりフェザーンは帝国の敗北を望んでいるようだ。

「閣下、笑いごとではありますまい。レンネンカンプ提督の言う通り、あと十日もすれば反乱軍がイゼルローン要塞に押し寄せてきます」
ファーレンハイトがブラウンシュバイク公を窘めたが、公は気にした様子を見せなかった。

「もっと早いかもしれませんよ、ファーレンハイト提督。二週間と言うのはあくまでフェザーンの言い分です、明日イゼルローン要塞が反乱軍の大軍に囲まれても私は驚きません」
公の指摘にケンプが唸り声を上げた。なるほど楽観はしていない、公は危険を十分に認識しているようだ……。

一人上機嫌なブラウンシュバイク公にメックリンガー総参謀長が困ったような視線を向けて溜息を吐いた。
「元帥閣下、ファーレンハイト提督の言う通りです。笑いごとではありますまい」
「いや、フェザーンも知恵を絞るものだと思って感心したのですよ。なかなか楽しませてくれる」
また総参謀長が溜息を吐いた。そして俺達に視線を向けてきた。
「……既にイゼルローン要塞には警告を発しました。オーディンからも援軍を送ります」

「では我々が」
「ええ、ミューゼル提督には増援軍の総指揮官としてケンプ提督、レンネンカンプ提督、ファーレンハイト提督を率いてイゼルローン要塞へ行って貰うことになります」
メックリンガー総参謀長の言葉に身体の中に熱い物が溢れた。増援軍の総指揮官、四個艦隊の指揮権は俺に有る。これ程の大軍を率いるのは初めてだ。思わず手
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