第10話 長門への説明
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に止まる限り、彗星が地球近辺を通過するだけで、大きな問題が起きるとは思えない」
俺は、ここで一度言葉を止め、長門有希と言う名前の少女を見つめる。
彼女も俺を見つめ返して来た。今まで通り……。いや、やや表情が硬い雰囲気ですか。それに、少し不機嫌な感じも受ける。
まぁ、彼女からすると、分からず屋の俺を非難するような気分なのでしょうね。
……やれやれ。これは、仕方がないですかね。
「それにな。もし、異界化した空間に長門さんを連れて行って、そこでオマエさんを失うような結果となって終ったら、俺は悔やんでも悔やみきれない事になる」
本当は、この理由を俺の口から教える心算は無かったのですが……。
そう。本当ならば、少し時間が掛かったとしても、彼女が自分で気付いてくれたのならば……。
「その事なら問題はない。わたしが機能停止したとしても、わたしの造物主との交信が回復すれば、そこに存在する情報のバックアップから、わたしは再構成される」
長門が普段通りの口調で、そう俺に告げた。ただ、何となく、事実の説明を行っていると言うよりも、俺を説得する為に説明を行っているような雰囲気で有ったのですが。
おそらく、その再構成と言う言葉が、長門有希と言う人工生命体を造り上げる作業と言う事なのでしょう。
そして、俺の予想通り彼女はそう思っていた……。自らは人工生命体で有るから、代わりは幾らでも居ると考えていたと言う事ですか。
確かに、その考え方は、何モノかに製造された人工生命体の少女。パーソナルネーム長門有希ならば、何の問題もない考え方でしょう。
しかし……。
「そうやな。確かに、長門さんの造物主との交信が途絶える前の長門有希は再構成されるから、この世界的には問題はないと思う」
長門の言葉を肯定するかのような俺の言葉。
分からず屋の俺を、あっさりと説得出来たかと思った長門から、少しの安堵に似た気が発せられた。
それに続く、俺の言葉を聞く直前まで……。
「せやけど、長門さんの造物主との交信が途絶えた後、再構成される直前までの長門有希は、一体、何処に行って仕舞うんやろうな」
俺の言葉に、長門からかなり、驚いたような気が発生する。
「もっと具体的に言うと、俺と過ごした記憶の有る長門有希を死なせる訳には行かない。
俺がこの世界にやって来て、共に過ごした記憶を持っているのは、今俺の目の前に居る長門有希、オマエさんだけや。
もし、オマエさんを失って仕舞ったら、この世界で俺の事を記憶していてくれる人間は誰もいなくなる。
覚えて置いて欲しい。俺に取って、長門さん。今のアンタは、この世界すべてと等価なんや」
この俺の気持ちを理解した上で、俺を説得出来なければ、この目の前の
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