第10話 長門への説明
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事と成る……。
「まぁ、いきなり言われても信用出来る訳は無いか」
俺は、少し頭を振って、余計な考えを追い出した後に、長門に対してそう告げた。
そう。先の事は先の事。未だ、長門有希と言う名前の少女の事も良く判っていないのに、あの相馬さつきと名乗った術師の少女の言葉のみを信用しても始まらないでしょう。
先ずは長門有希。彼女の事を知る事。そこから始めなければ、彼女の造物主の事など判る訳は有りませんから。
しかし……。
「了承した」
……と、長門は俺の言葉に対して、いともあっさりと首肯く。彼女が発する雰囲気は正。俺を騙そうとする雰囲気も、そして、自らを偽っている雰囲気も感じる事はない。
う〜む。どうも、簡単に信用し過ぎのような気もするのですが。
「いや、もう少し考えてからでも、返事は遅くないで」
最初に、そう言って置く俺。
確かに、彼女に対して俺は嘘を言った覚えは有りません。それに、彼女に信じて貰えた事は、正直に言うと素直に嬉しい事なのですが……。
但し、彼女に、こんなに簡単に信じて貰える程の証拠は示してはいないのも事実です。
もし、俺が何らかの悪意を持って、長門に近付いていたとしたら、どうする心算なのでしょうか。
まして、彼女は造られた存在。もし、一時的とは言え、俺が彼女の主人格と成った事に因って、彼女が俺の命令に絶対服従する、と言う状況に陥って居るとしたら、それはそれで、かなり問題が有る事態ですから。
俺と出会う以前。長門有希と言う人工生命体を造り上げた存在が、仮に彼女に絶対の服従を強いていたとしても、それはそれ。人にそれぞれ個性が有るように、俺には俺のやり方が有り、俺は、自らの式神に対しても絶対の服従を強いる事など有りません。
俺の判断力は、所詮、俺の能力を超える事は出来ません。確かに、全ての事象に対しての最終的な決定権は俺に有りますが、俺が間違った判断を下しそうに成った時に、もし式神たちに絶対の服従を強いていた場合、誰にも止めて貰えなくなります。
流石に、それは問題が出て来るでしょう。
しかし、
「貴方は、わたしに嘘を吐いた事はない」
最初に長門は、俺に対してそう言った。透明な表情のままで。
そしてそれは事実です。俺は、彼女に対しては嘘を吐いた覚えは有りません。
「それに、わたしには貴方と共に有る、と言う選択肢しかない」
更に続けて、長門が淡々と告げる。出会った時から変わる事のない抑揚の少ない、より彼女らしい声で。
成るほど。彼女はそう言う風に考えていたのですか。いや、ただ、先ほどの台詞を俺に告げた際の長門から流れて来た雰囲気自体は、言葉の調子ほど平坦なモノでは無かったのですが……。
え〜と、何と
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