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ヴァレンタインから一週間
第10話 長門への説明
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っとも、正直なトコロ、こんな東洋伝奇小説紛いの話の内容を完全に理解して、更に信じて貰えるとは思ってはいません。
 まして、俺の属性神殺しは口からデマカセ。所詮は伝承上での龍種。つまり、龍の血を引く人間には、そう言う神話上での役割が与えられる事が多いと言うだけの事ですから。
 但し、例え口からデマカセでも、そう言わなければ、この場で長門に、この話をする事などが出来る訳は有りませんから。

 何故ならば、事態は既に絶望的な状況と成っているのですから……。
 表面上は。

 俺の問いに、有希はコクリとひとつ首肯いた。彼女が発して居るのは、……少なくとも陰気の類では有りません。と、言う事は彼女が態度で示した通り、俺の説明を理解してくれたと言う事なのでしょう。

「そうしたら、質問は有るか?」

 少しの違和感を覚えながらも、そう長門に対して問い掛ける俺。そもそも、俺自身でさえ、未だ半信半疑の仮説に過ぎない内容を簡単に信用出来る、と言う点からして……。

 まして、今、答えられる範囲は限られているのですが。
 この世界の水晶宮への接触方法が判らない以上、今の俺には、この街をあちこち歩き回って、不自然な気の澱みを地道に調べ歩くしか方法が有りませんから。
 但し、どれぐらいの範囲内を調べなければならないのか判らない以上、さっそく今晩から動き出す必要は存在して居ます。

「どうやって倒す」

 長門が、いきなり無理な質問を出して来た。昨夜の出会いから変わらない、彼女独特の抑揚の少ない口調で……。
 但し、現状では難しい質問で有るのは確かなのですが。

「取り敢えず、今言えるのは、晴明桔梗印が通用する可能性が高い、と言う程度かな。ケートゥの現在の姿から推測するならば、やけどね。
 それ以外に関しては、今のトコロ打つ手はなし」

 ただ、この一連の流れ自体が、何らかの神話的追体験を求められている状態ならば、人魚姫のルーンを持つ有希と、片目の龍神一目連の俺が、共同で難局を乗り切れと言う事なのでしょう。
 俺が異界に流された事と、長門の身に起きている異常事態。そして、土地神たちが封じられている現状と、今起きつつ有る事件に関連性が有ると仮定するのならば。

 まして、現状ではラゴウ星が顕われる場所の特定が出来ない以上、最初に、ヤツが現界する場所がはっきりすれば、対処する方法も有るのですが。
 おそらく、身体(ケートゥ)と、(ラーフ)が合一するのは、涼宮ハルヒと言う名前の少女が告げた、新しい彗星が地球に近付く一週間後だと推測出来ます。

 その際に顕われるラゴウ星を排除する事が出来たのならば、俺は元々暮らしていた世界に帰還する事が出来るようになり、長門は……。
 相馬さつきが『邪神』と表現した造物主との連絡が回復する
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