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ヴァレンタインから一週間
第10話 長門への説明
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 俺の問い掛けに、真っ直ぐに俺を見つめた後、小さく首肯く長門。
 その瞬間、彼女の顔に重要なアクセントを与えている銀と透明な硝子が、室内灯の明かりを僅かに反射した。

「この異常事態を引き起こしているのは、ラゴウ星とケイト星と言う二柱の天魔。こいつ等が顕われたら世界の半分はあっちゅう間に吹っ飛ぶと言うぐらいの危険な連中、程度には理解して置いて欲しい」

 俺の声のみが、冷たい冬の夜気に包まれた長門の殺風景な部屋に木霊した。
 そう。この部屋のみが、何故か他の世界とは隔絶され、周囲に存在している光の粒子さえ辿り着く事が出来ない空間と成って居るかのようで有った。

「まして、こいつ等の神性には、再生はない。有るのは破壊だけ。
 それで、厳密に言うならば、こいつ等を完全に滅する事は出来ない。おそらくは誰にもな」

 長門は何も口を挟もうとはしない。ただ、普通ならば絶対に信用されるはずの無い俺の言葉に対して、否定するような雰囲気を発する事も有りませんでしたが。
 俺の事を完全に信用している……訳は有りませんか。流石に、こんな短い付き合いしかない相手を簡単に信用出来る訳は……。

 其処まで考えた後、彼女の置かれて居る立場に少し考えを巡らせ、自らの思い込みと言うヤツを否定する俺。

 そう。彼女自身が他者と付き合った経験が乏しいのなら、簡単に他人の言を信用して仕舞う可能性も有る、と言う事に気付いたと言う事です。

「何故ならば、こいつ等は、れっきとした神籍に名前の刻まれた仙族の神様。九曜星の内の二柱に当たる神様やからな」

 それでも、取り敢えず信用してくれているのならば、最後まで説明するだけです。それ以後の事は、それ以後に考えたら良い。
 そう考え、引き続き、説明を行う俺。

 もっとも、今の説明の内容は現実味が薄い上に、俺自身も未だ確信が有る訳では無い仮説ですから……。

「まぁ、いくら俺が神殺しの属性を与えられた存在でも、これは難しいと思う。
 え〜と、それで……。確かこいつ等は、元々、インド神話に登場するラーフと言う名前の一体のアスラやった。
 それが、アムリタ(甘露)を飲む事によって不死の属性を手に入れ、悪神となった。
 その際に、首と胴体が切り離されて、それぞれが、ラーフ、ケートゥと言う名前の天に輝く凶星となったと言う訳なんや」

 ただ、この西宮の地では、ケートゥ(ケイト星)の方が、どうやら大地に封じられていた可能性が高いようなのですが……。
 それも、首なしの黒い身体の邪神としての姿で……。

「ここまでの説明は理解できたかな?」

 正に、世界は不思議で溢れている、と言う言葉がしっくり来るような、荒唐無稽な俺の説明が終わった後、一応、長門に対してそう聞いては見るのですが……。も
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