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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第53話 炎の少女
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モンモランシーの治癒魔法によって、戦闘での傷を完全に回復した炎の少女が、意識を取り戻した途端、俺の胸倉を掴みかねない勢い……って、言うか、実際に、俺の胸倉を掴んで、頭をぐらぐらと揺らしながら聞いて来る。
 但し、戦闘時の霊気の高まりが解除された為か、ふたつに分かれていた崇拝される者(彼女)の左の瞳が、元のひとつへと戻っていたのですが。

「あれは、崇拝される者の纏った炎で、俺が呪符で集めた水が爆発的に蒸発しただけや。
 つまり、あの爆発は、基本的に、炎の精霊王を傷付ける事の出来ない火行の攻撃ではなくて、水行に分類される攻撃やった、と言う事やな」

 何故か、少し眩暈のようなモノを感じながら、俺は彼女の問いにそう答えた。
 しかし、戦闘中はあれほど視界が上を向いたり、下を向いたりしても平気だったのに、少々頭を揺らされた程度で眩暈ですか……。

 流石に、戦闘時は気を張っていると言うべきなのか、普段の俺が脆弱過ぎるのか。
 主に精神的な要因によって。

 それで、崇拝される者を襲った爆発に関しては、何の事はない、単なる水蒸気爆発と言う現象だった、と言う訳なんですよね。

「そもそも、初歩の水行に属する仙術の冷気陣と、その中にばら撒かれた水弾のど真ん中に、炎を纏って突っ込む方がどうかしていると思うわ」

 つまり、先ほどの戦いの最後の部分は、炎の少女の自爆、と言う状況だったと言う事。
 もっとも、その自爆を誘発する為に、ちょこまかと小細工をしながら攻撃を躱していたのも事実なのですが。

 俺の張った冷気陣は、基本的に空間に作用する陣……つまり、結界術の為、空中に張る事も可能。
 それで、一度張ると、火行や水行の攻撃によるダメージを軽減する働きが有るのですが、物理的な攻撃を妨げるタイプの結界術では有りません。

 それで、次に空中にばら撒かれた呪符に封じられていたのは、水弾の仙術。
 所謂、水を集めて弾にして相手を攻撃すると言う、五遁水行の仙術の内、最初に覚えさせられる攻撃型仙術。

 それで、冷気陣の内側に飛び込み、水の攻撃型仙術を受けた炎の魔神の周りで、一気に熱せられた水の弾が蒸発して水蒸気爆発が発生。
 しかし、その爆発的に大きくなった水蒸気が、今度は冷気陣に阻まれ、外に向かってその爆発力を放出する事が出来ずに、再び彼女の元にすべてのダメージを返して来る。

「そこで、トドメに俺の生来の能力の雷で、ショック状態になって貰ったと言う訳やな。
 実際、余り酷いケガに成らないように、手加減するのが難しかったで、ホンマに」

 俺の生来の能力の雷は、普通に放つだけでも電撃反射か、電撃吸収の属性を持つモノ以外すべてにダメージを与える事が出来る強力な能力。
 低、中レベルの悪魔や妖物、魔獣程度なら、瞬殺出来
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