第5章 契約
第53話 炎の少女
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コロで回避。
しかし、空を斬らせた神刀を、勢いのそのまま更に一回転する崇拝される者。その様はまさに剣舞。まるで最初から俺が躱す事すらそう言う約束事に成っていたかのような、流れるような動き。
そして再び、歩幅にして一歩分、余計に踏み込んで来た崇拝される者により、空中で位置をずらした俺を襲う!
先ほどよりも強い意志と、破壊の力を乗せて!
「流石に炎の女神。シャレにならないぐらい、強い!」
戦闘の最中の俺の、まるで余裕が有るかのような台詞。その瞬間に、彼女の足元ギリギリの箇所を滑り抜けるかのような要領で炎が纏いし刀を回避する俺。
しかし、崇拝される者は、俺の、そのクダラナイ感想を口にする暇さえ与えないかのように、空中にて大きく弧を描くように反転。その最中に左腕を一閃。三発の火弾を放って来る。
有る程度の誘導が可能なのか、鋭角なカーブを描いた後、急に速度を上げて上下。そして、一瞬遅れて左側より飛び来るその火弾。
しかし、その火弾を、今度は重力を無視するかのような、空中を右に二度、強弱を付けたスライドするかのような動きで回避する俺。
そう。彼女に紅の翼が有るのなら、俺には重力を操る術が有る。
そして、その一瞬の後、再び、右斜め頭上から袈裟掛けに斬り下ろされる一刀を、今度は躱す事なく、俺は自らの愛刀で迎え討った。
金属同士がぶつかる事により発生する乾いた音色を立て、その音を合図とするかの様に、再び離れる俺と崇拝される者。
「……やれやれ。矢張り、普通の刀では無かったか」
少し、愚痴に近い独り言を口にする俺。
何故ならば、普通の刀ならば、俺の七星の宝刀と刃を合わせただけで、両断出来たはずですから。
まして、俺に一刀を抜かせて防御させるとはね。
周りから見ると、完全な予測の元、刀で攻撃を受けたように見えたかも知れませんが、本来の俺の戦い方なら、三発の火弾を難なく回避した後、毛抜形蕨手刀を紙一重で交わした際に、七星の宝刀で崇拝される者を斬り裂いています。
牽制の為に放たれたのであろう火弾を細かい空中機動で回避し続ける俺。
一発回避する事に、立ち位置を変え、角度を変え、新たに襲い掛かって来る炎の奔流。
今度は、ややサイドステップをするかのような動きで、見た目は華麗に。内心では、冷や汗ものの回避を行う俺。
何と言うか、相変わらず、分が悪い戦いにしかならない戦いが続きますね、こちらの世界にやって来てからの俺には。
炎の少女の攻撃は、神刀の一撃でも、牽制の為に放って来ている火弾の一発でも、真面に食らえば、俺を無力化する事が可能な攻撃を繰り出して来ています。
こう言う戦い。相手を見極める為の戦いと言う物は普通、其処まで
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