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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第53話 炎の少女
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一度や二度死んだぐらいでは、根本的な部分は変わらないと言う事ですか。

 おそらく、彼女の瞳は今の俺を映しながらも、俺ではない誰か別の人間を映しているのだと思いますが……。

 対して、金の魔女(モンモランシー)は、少し驚いたような気を発する。おそらく、それは彼女も、俺がこれから何を為そうとしたのかが判ったと言う事。
 そして、彼女は俺の能力を信用し切る事は出来なかったと言う事なのでしょう。

 そして、最後に残った少女は……。

 小さき炎の精霊を従え、俺を、その強き瞳にて真っ直ぐに見つめる崇拝される者。
 但し、先ほどまでの不機嫌な雰囲気とは違う、何か別の感情を発しながら……。

 その刹那、再び、世界の在り様が変わった。
 そう。彼女、崇拝される者(炎の女神)が統べるに相応しい炎の空間(世界)へと……。

 世界の在り様に相応しい姿。風になびく長い黒髪が炎の気を纏わせ、燃え上がるかのような輝く瞳が、俺を映す炎の少女。
 タバサや湖の乙女が発する雰囲気が儚さならば、彼女は凛々しさ。その雰囲気は、俺で無くとも、大抵の人間ならば瞳を奪われても不思議ではない、神々しいまでの美を表現していた。

「もし、わたしに勝てたのなら、オマエを認めてやっても良い」

 少女は、喜びにも似た感情を発しながら、しかし、口調はそれまでと同じ、ややぞんざいな口調のままでそう告げて来る。
 そんな、細かな仕草や、言葉使いの中にも、彼女(崇拝される者)らしさを感じさせて……。

「わたし。炎の契約者として」

 それまでと同じ雰囲気。但し、ここからが違う。
 彼女の霊威の高まりに因って変わって仕舞った瞳。何故か、左の瞳のみ、ふたつに別れた、都合三つの輝くような光輝を放つ瞳に俺を映しながら、そう告げて来たのでした。


☆★☆★☆


 俺の気を高め、戦闘モードに移行するとほぼ同時に、俺の周囲が、炎の気に包まれる。
 その炎は、先ほど、水の邪神を相手にしたモノではなく、明らかに、俺を燃やし尽くす意図と意志を湛えた神の炎気。

 刹那、急速上昇にて上空に退避する俺。

 その一瞬後、俺のいた地点を中心にした周囲を紅蓮の炎が嘗めた。
 しかし、その爆炎を確認した刹那、上空に退避していた俺が、再び、その身をやや斜め下方に流す。

 それは、まるで、崇拝される者の一連の動きを完全に見切っていたかのような優美な動き。
 瞬転、それまで俺が占めていた空間を、炎を纏った神刀が、やや下方より斬り裂いて行く。
 そう。俺の一瞬後に地を蹴り、炎の羽根を広げた崇拝される者が、正面より斬り掛かって来ていたのだ。

「逃げてばかりでは勝てない!」

 その神刀が発する熱にて僅かばかりの前髪を燃やしながらも寸でのト
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