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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第53話 炎の少女
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喜の歌を歌う度に、水に支配されし世界が彼女の纏う炎に塗り替えられて行く。
 悪しき水に支配された世界から、通常の理が支配する世界への上書きは、確かに行ってくれているのですから。

 水の邪神との間合いを一気に詰める崇拝される者。
 しかし、手にした柳葉刀の切っ先を右後方へと大きく引き絞り、待ち構えし水の邪神が地摺り八相の構えから、逆袈裟斬りにて、一刀の元に彼女を斬り捨てようとする。

 しかし! そう、しかし!

 水の邪神の切っ先が動き出したその刹那、再び、踏み込んだ左脚の足裏を爆発させ、それまで一直線に進むだけで有ったベクトルを、右斜め後方に向けて跳ぶ崇拝される者!
 その次の刹那!

 完全に振り抜かれ、空を無意味に斬り裂いた水の邪神の柳葉刀。
 その振り抜かれた右腕に、下方から蒼く光り輝く七星の宝刀が迫り――――――――。

 そして、次の瞬間。宙を舞う柳葉刀を握った、水の邪神の右腕。

 崇拝される者に遅れる事、三歩の距離で彼女の後ろに付き従っていた俺が、崇拝される者が右斜め後方に飛び退いた瞬間に体を入れ替え、紙一重で振り抜かれた柳葉刀を上方に流し、無防備に振り抜かれたままと成っていた邪神の右腕を跳ね飛ばしたのだ!

 刹那、宙を舞った右腕と柳葉刀が、水滴と成って散じた。

 声に成らない声。生命体の可聴範囲を超えた絶叫が周囲に響き渡る!

 しかし、次の瞬間には、斬り跳ばされた右腕の有った位置に周囲の水の精霊が集まり、水の邪神の右腕を再現し――――――――。

 上段から振り下ろし。縦一文字に振り抜かれた柳葉刀の斬撃が、風を巻いて一本の黒き柱と為し、俺の視界を塞ぐ。
 そう。それまでの斬撃とは違う衝撃波が、空中を、そして、大地を貫き――――――――。

 同じ様に上段に振りかぶった七星の宝刀が俺の霊力の高まりに応じて、蒼白き光が強く輝き、刃に浸透して行く。
 しかし、巨大な気が爆発する事もなく、縮んで行く。そう、収斂と圧縮が同時に起こり……。

 そして、次の瞬間、無造作に振り抜かれて居た。

 地を斬り裂きながら奔り、俺に対して低くその顎を剥く黒き斬撃。
 対するは、蒼く輝く斬撃。無造作に振り降ろされた七星の宝刀より放たれた蒼白き光輝を放つ巨大な気の塊が……。

 俺と、水の邪神との中心点で激突!

 黒と蒼が混じり合う、一瞬の拮抗。周囲に爆音を響かせ、立って居られないほどの衝撃波を発生させた後、黒と蒼の斬撃は霧消した。そう、後に残るは、大地に残る傷痕と、もうもうたる土煙のみ。

 しかし、その土煙を斬り裂き顕われる黒き影。
 そう。視界を完全に遮る土煙を斬り裂き、重く威圧的な袈裟懸けが俺を襲う!
 しかし!

 完全に俺を袈裟懸けに斬り捨てるかに思えた死の斬
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