19.優しい王
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「動かないでください」
「あ、あなた」
集が銃を供奉院に突きつける。
「あなたを裏切った復讐というわけ」
「違ぇよ。供奉院」
「あなたまで」
集の後ろに隠れていた俺も姿を出す。
「僕のことはどうなってもいい。いのりとシオンの居場所を教えてください」
「あの女の!?」
ピピピ!!
供奉院の持っている電子端末が鳴る。
『全部隊に通達。桜満ハルカ博士が重大な反逆行為を起こし逃走中。各員、発見しだい逮捕されたし。繰り返す.....桜満ハルカ博士が重大な反逆行為を起こし逃走中。各員、発見しだい逮捕されたし』
桜満ハルカ博士って.....集の母さんだよな。
「........集」
「この話は後で......供奉院さん」
集が銃をさらに突きつける。
俺たちは車の後ろに乗り込み身を潜める。
供奉院も車に乗り込み持っていた電子端末で何かを調べている。
外にいる白服の男が供奉院が乗る席の窓を叩く。
供奉院が窓を開ける。
「同志アリサ、何処へ?」
「桜満博士を追います。ガイには私から報告します」
供奉院はオートインセクトが操縦する車を発進させる。
「待て!!ガイ様を呼び捨てに!!」
俺たちは車が発進してからちょっと経ったあとに起き上がる。
「発見したら、桜満ハルカと話をさせて。いいわね」
「それがいのりとシオンの居場所を教える交換条件ですか」
「彼女ならガイの計画を知っているはず。.......あの人を知りたい、彼の過去も、望みも、弱みも、痛みも、全て」
沈黙が続く車内......集がおもむろに口を開く。
「ハルカは本当の母親じゃないんだ。父さんと再婚して、でも.....すぐ、父さんは死んじゃって.......それでも、僕をずっと育ててくれた」
「........親.....か」
俺の親はあの日.......全ての時が止まった日.......ロストクリスマスに失った。
「やっぱり無理なんだよ、あのガイとやり合うなんて」
「お前悔しくないのかよ!」
「でも、大雲さんもやられたっていうし」
「連絡が取れなくなっただけよ。今、アルゴが確認に行ってる」
大雲が死ぬわけない。絶対にね。
「アルゴが戻ってきたぞ」
その声を聞き、私たちは外へとアルゴを迎えに行く。
「クモっちは一緒じゃないの?」
ツグミが心配そうに聞く。
そこにいるのは、桜満博士、倉地さん、アルゴの3人に大雲の姿は見当たらない。
「..........一緒だよ」
アルゴが小さな声で口を動かす。
「えっ!?......でも」
「..........一緒なんだ」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ