十一話 「『二人の』為」
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こちらを女性だと見てタックルをすべく姿勢を低くして向かっていた三人目に対し、白は横へ避けながら持ってきた水筒の蓋を開ける。素早く印を組み宙に溢れる水に指を浸すと同時、その全ての水が円盤状に変形。指向性を持って敵へと向かう。
――水遁・水切花
回転しながら飛来するいくつもの水盤は相手を切り刻みその内の一つが相手の喉を裂く。それを見て白は酷く辛そうな表情を浮かべながら一息で相手に近づきその頭を蹴り飛ばす。
実験だと、そう白はイツキに言われた。
毒はどの程度効くか。自分たちはどの程度動けるか。術はどの程度まで使えるか。使える術はどれほど人に効くのか。
火車に教えられた盗賊たちでその程度を試すのだと。だから、手加減はするなと。消えても誰も困らないやつらだと。
経験を積ませてやる。自分の役に立つように。お前の存在理由だ。
だから殺せ。出来なきゃお前は使えない――そう言われたのだ。
水筒を使っているのも実験だ。中に入っているのは水風船など鍛錬の際に使っていた水。使い回し何度となく自身のチャクラを込めてきた水は普通の水よりも馴染み細かい操作も行える傾向があるからだ。
あの時のイツキの無表情を思い出し、そして自分のしていることを思い優しい白は無理矢理に感情を殺す。
けれどついイツキの方を見てしまう。そしてイツキに対して投げられた筒が目に入る。
「――イツキさん目を!!」
自身も目を閉じながら反射的に叫んだ瞬間、光が炸裂する。
瞼を閉じていても眩しさを感じる程の強い光。どうなったか心配で光がやんですぐ目を開け白はイツキの姿を探す。
ふとさまよった視線の先、問題ないイツキの姿を見て白はほっと胸をなで下ろし、イツキが追っていた二人が二手に分かれたのが目に入る。イツキが追ったのとは違う片方に千本を構え――振り下ろされた刃を白は身を捩って避ける。
最初に飛ばした相手だ。どうやらまだ動けたらしく、イツキの身の安否に思考が取られすぎて気づかなかったのだ。
毒で倒れた相手は四人。目の前の一人とは別にもう一人、やっと起き上がれるほど回復した相手を視界に収める。戦うべきか逃げるべきか血を流しながら迷う相手に白は一息で近づく。
足に溜めたチャクラの爆発力からの疾走。暗闇と先の光の影響で常人には消えたとさえ見える速さ。一人目を蹴り飛ばしその全身に千本を降り注がせる。
逃げようと背を向け隠れた残り一人を数秒で見つけ、白は印を組み口を膨らませる。
――水遁・水弾の術
吐き出された圧縮された水の塊が逃げる相手の背に激突。倒れた相手に白は苦無を投げて突き刺す。
使ったのはどれもそう難易度の高くない術ばかり。特に問題なく使えたことに安堵と悲しみを感じ白は歯を噛み締める
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