暁 〜小説投稿サイト〜
弱者の足掻き
十一話 「『二人の』為」
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る。

「まあ何もなければだがな。それが足かせになったら困る。男の方は……五月蝿ければそこらに捨てとくか」
「ですね。あ、着きましたよ」

 仲間が待つ場所に着く。
 人目を遮るように木々や植物が多い中にある少し開けた場所。近くに粗末な小屋があるそこで焚き火を囲むように座っている五人にアズマと青年は合流する。
 火の周りには木の串が通された肉があぶられており他の物たちは既に思い思いに食べていた。そこに買ってきた魚を追加しながら買い出しの二人は腰を下ろす。

「どうぞ」
「ああ」

 料理番をしていたらしい仲間の一人から適当に焼けた串をアズマは受け取り齧る。香ばしい匂いがして小腹もすいているが、何故だか余り食べる気にもなれなく二口目が伸びない。
 仲間の目が向いていないのを見て串の肉を茂みに捨てつつ軽く辺りを見回し近くのハゲの男性仲間に話しかける。

「子供はどうした?」
「あの二人でしたら縛ってあの小屋に投げ込んでありますが……」

 近くの小屋を指さしつつどこか歯切れの悪い言葉が告げられる。
 子供相手ならそれで問題がある対応ではない。別に身代金が欲しい誘拐じゃないのだ丁重に扱う必要性など皆無だ。
 泣き声や悲鳴などがないのがまあ気になるが、一体どうしたのかとアズマは思う。もしや早まった他の連中が既に手を下したのだろうか。

「ヤったんなら別にいいぞ。売ろうか考えていたがそれならそれで」
「いえ、違うんですよ。生きてます。男の方は何か煩かったんで一発蹴飛ばしましたが。ただその……女の方は」

 続きを濁すようにその視線が向けられた先には先程の料理番の男が。短髪でいかにも運動好きの好青年、といったあぐらをかいて火をいじっているその若年男を見てアズマは納得する。

「つまりヤったのか。“使用済み”になったわけだ。誰も小屋行かないわけだ」
「ええ。『どうせ返すわけじゃないんだし遊んでいいですよね。それで捕まえたし。可愛かったなぁあの子』って。戻ってきたとき別人みたいにすっきりしてましたよ」

 そいつの性癖を思い出して思わず呆れた声を出してしまう。その様子ではさぞや頑張ったのだろう。”運動”を終えたあとの臭い場所など好き好んで入りたくもない。
 さぞ少女は静かになっただろう。売る時の価値が下がったことについ落胆しやっぱり放置していこうかとつい考えてしまう。

「あ、ボクの話ですか」

 聞こえたのか若年男が笑顔で近寄ってくる。
 酷く清々しいその顔だが、その下にある性癖や趣味はろくなものじゃないのを知っているだけにその表情が酷く気味歩く見えてしまう。

「おいたも程々にしておけ。あの小屋使えなくなっただろ。臭い臭い」
「可愛かったですもん。押さえつけた時の顔が可愛くて可愛くて。逃がした
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