十一話 「『二人の』為」
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めるなんて絶対に許してはならないことだ。そうしないために、俺を”殺さない”為に生きると決めたのだから。死を全力で抗わなければ誓を裏切ることになってしまう。
近づく俺に震える腕で何とか体を起こし、けれど自力ではそれを保てず木に背を預けた相手が震えた声で問う。
「あいつは、どうした」
「逃げたやつか? 教えるとでも思うのか」
「ああ、逃げられたのか」
「……何を馬鹿な」
わかるわけがない、そう吐き捨てる。
「捕まえたなら、かくす必要が、ない。全員、ころすつもり、なんだろ?」
「ッ、当てずっぽうだな」
「図星、か。ビビリの、だいこん役者」
いいザマだと笑われる。
引っ掛けられたのだと気づき奥歯を噛み締める。簡単な誘導じゃないかこんなもの。
だが、知ったところでコイツに何ができる。回った毒はもう何もせずとも半刻ほどでその命を奪うだろう。何の毒かわからなければ解除のしようもない。こんな山の中、解毒剤を用意することは不可能。大量に血も出ている麻痺した体で町まで降りるのも不可能。もう、万が一は起こらない。
「おれに何を、した」
「毒だよ、神経毒。最初に投げた苦無とこのチャクラ刀に塗ってあったんだよ。最初っから逃がすつもりなんて無い」
塗装された毒で輝きの鈍い刀身を軽く掲げてみせる。人に使ったらどうなるか、それを試すためだ。動物にも使ったことはあるが、人に使った際を試さなければならない。いつか実際に使ったとき、時間のミスや分量のミスで効かなかった、死んだ、なんてあっても困る。
どうせなら、と思い懐に入れておいた細い木の棒を投げつける。
「お仲間の方はそれだよ。夾竹桃、って知ってるか? 毒のある木でな、食材を刺す串なんかに使って食うと一二時間中毒を起こす。どうせなら全部教えてやるよ。どこからネタバレして欲しい?」
「つまり……最初から、おまえ、は」
「ああそうだよ。知り合いから情報もらって探しに来た。正直誰でも良かったから運が悪かっただけだよ。お前たちが捕まえたガキいるだろ、あれ俺たちだ。ワザと捕まって途中で化けて入れ替わったんだよ」
そして化けた姿で率先して火の管理をして毒の串を使った。その間に白は隠しておいた道具を取りに行き、罠を張った。
小屋に入れられた時ちゃちな縄で手を縛られたがそれは白が切った。風の性質……俺には使えない、鍛えれば滝さえ切れるそのチャクラで。白の手のひらで握らせさせ時間さえかければ縄など容易いものだ。
金属製の手錠がかけられる心配もあったが、ただの盗賊が持っている可能性は低いと読んでいた。子供として演技をしたとき腹を一発蹴られたのが誤算といえば誤算だが。
場合によっては力押しさえ考えていたが、よくよく計画通りに行ってくれた。
「色々とあってさ
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