十一話 「『二人の』為」
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え苦悶に歪む白の顔を渾身の力で殴る。
再度の暴力に呆然とした顔でたたらを踏み、かろうじて耐えた白の視線が俺を貫く。たらり、とその口と鼻から血が痛々しく流れる。
白に近づきその顔を鷲掴み力を込める。
強まる力と痛みに白が段々と苦悶の表情を浮かべていくが取り合わない。足が浮き幼い白の小さな顔が段々と軋んでいき苦悶の声が漏れる。
確かに俺は白に殺せといった。なのにこの醜態、余りにも舐めている。
自分を道具だと言い切るならばなぜこの程度の事が出来ないのか。
そう思いながら更に力を入れようとした瞬間、白の目が見開かれる。ダランと垂れていたその両手が動いて俺の体を掴む。無理に動き明らかに激痛が走っているだろうに止まらず、チャクラまでも込めて全力で後ろに引かれ倒れる。それと同時に反転。白が上に来る。
何を――
そう思った瞬間、凄まじい衝撃と爆音が近くで響き渡った。
一瞬の衝撃と爆風。飛ばされ地面を転がりながら、暫し立ち上る煙のその発信源へ視線を向ける。
「何だ!?」
「起爆札、です」
上に――庇うように覆いかぶさっていた白が呟く。今の衝撃で既に手は離している。
起爆札。忍者なんかが使う道具の一つで、時間や衝撃で爆発する札のことだ。真っ当でない商人を通じれば一般人でも手に入れられるだろう。少し大きい栞程度の大きさながら人を一人殺すくらいの力は優にある俺も持っている殺傷武器。
見れば木に凭れ倒れていた男の姿がない。少し視線をずらせば闇の中に消えていく背が目に映る。
「隠し持ってたのか。機を伺ってたってわけだ小賢しい」
「直ぐに追います」
「いや、いい」
走り出そうとした白を体を起こして止め、別の方を向かせる。
「ですが向こうは何も」
「確かに向こうの方は何も仕掛けてないわな」
ここ一帯には簡単なワイヤートラップの類が仕掛けてある。どの程度使えるかのこれも実験だが、それの薄い方に相手は逃げていった。
このままならその見失ってしまう可能性が高いが……
「逃げたんなら逃げたでいい。もう手は打ってあるからあっちは俺だ。お前は向こうでケリつけろ」
「ケリ……?」
「寝てるやつ仰向けにして喉抉ってこい。万が一、を消してこい」
手加減されて生き残っていたら困る。ひと目で見て死んでいるかどうかわかるほど慣れていない。漫画みたいに話している間に逆転される、実は生きていて後で力をつけてきて倒される、なんてのはゴメンだ。
まだ動ける倒れた敵を前に悠々と喋るなんてのは自分に確かな腕の覚えがあるやつだけ。そんな自信なんて、俺にはない。芽は潰せるなら潰す。その為の予行演習。
逃げた相手に投げつけられたナイフを拾って白に渡す。手の上から覆う様に、けっしてそれ
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