十一話 「『二人の』為」
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相手の腕を切り裂く。
酷く気持ちの悪い暖かい肉を裂く重い感触がぬぷりと刃を握る腕に伝わる。肉を一文字に切り開かれ、致命傷には至らないが男性は木にもたれるように倒れる。
死んではいないが息は荒く血を滔々と流し続ける男性に立ち上がれる気配はない。
黙りこくったイツキに白が近づいてくる。
「大丈夫ですか? 辛そうですが」
「問題ない。ちゃんと殺ったか白?」
聞きながら目を白が来た方へと向ける。
残された焚き火の光に照らされ倒れふした四人の姿が見える。動きそうな気配はない。
だが……
「倒れているだけで血は余り見えないし随分と怪我も少なそうだが、あれは何だ?」
「いえ、そんな事は――」
暗いが、それでも見えた倒れている相手は皆そこまでのモノに見えない。腹部を刺されているものもあるが、心臓や肺の部分でもなく、腰の辺り。確かに重症だろウガ、それだけ。少なくともすぐに死に至らしめる傷を与えられたものは少ないだろう。
白が握っているチャクラ刀や苦無を見るがロクに血も付いていない。術だけで殺せた、と考えるのも恐らく無理があるだろう。
「殴ったりけったり、足や腕刺しただけか? 心臓じゃなく腹を刺しただけで死ぬか? 医療用の千本差しただけで死ぬか?」
「それは……」
「優しいからなお前。手加減したのか。明確なトドメにならずほっとけば死ぬ怪我、くらいに抑えて手抜いたのか」
確かにあのまま放置しておけば死ぬだろう。
全く、あまりに優しくてヤサシクて泣きそうだ。
「そういや逃げたもう一人どうした。毒でくたばった四人くらいすぐ始末できて追えたろ」
「逃げられました。少し、気を取られて四人を倒すのに思ったよりかかってしまいました」
「あ、そ。ミスか。何で追わない?」
「先程の光が見られた可能性が高いです。人死がでた強盗の被害の矢先の光。恐らく町の人間が森に入っています。そして相手が逃げたのが町の方向。崖もありますし見失った以上犬など持たない僕では恐らく……」
「時間がかかってリスクが高い、か。頭いいねぇ」
確かにそのとおり。町の人間に見られるのは極力避けなければならない。
だが元は白のミス。ちゃんと前もって対象は全員だと言ってあったはず。それに“倒す”か。
来い来い、と軽く手を振る俺に白が近づいてくる。
ああ、こいつ――
「白、ちょっと」
「はい、何で―――」
――舐めてるな
そう思いその腹を全力で蹴り抜いた。
小さい白の体、その腹部に俺の足がめり込み白の体が一瞬浮き上がる。
「――〜〜〜?! ……ッが、な、ぁ」
「ふざけてるのお前?」
声にならない悲鳴が上がるのを無視して問いかける。
体を貫く衝撃に息も出来ず、くの字に折れ腹を抑
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