第十四話『決断』
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「!?」
「今この現場を離れたら、あなたの身の上がどうなるかはわかりません……ですが、あなたはそれでも行く心算なのでしょう?」
「……ああ」
「でしたら指揮はこのクラリッサが請け負います。安心して、ご家族の下へ行ってください」
「……すまない、クラリッサ! 義父さん、俺は今から向かう。ここからならそこまで遠くないはずだ。切るぞ!」
『ああ!』
通話を終え、スウェンはクラリッサにインカムを渡し
「後は頼む」
「はい!」
スウェンは頷き、全速力で本部を走り抜けていく。残されたクラリッサはインカムを起動し
「これより指揮はクラリッサ・ハルフォーフが急遽受け持つ。全体は私の指揮の元で行動しろ!」
/※/
「はぁ…! はぁ…!」
スウェンは止まることなくローエンス病院たどり着き、受付に向かう。
「リズ・グレーデュントが緊急搬送された病院はここだな!」
「え、えっと……少々お待ちを……はい、今は緊急手術を受けているところです」
「場所は!」
「そ、そこを右に曲がったところです」
「感謝する!」
再び走るスウェン。手術中と表示された部屋の前に、ネレイスが座っていた。
「スウェン!」
スウェンに気づき、椅子から立ち上がりスウェンの前へ駆け寄るネレイス。
「リズが……リズが……急に家で倒れて……意識が戻らなかったのぉ……!」
「落ち着け、義母さん」
「ネレイス! スウェン!」
次いでロイも走ってやってきた。研究室に居たまま来たのだろう、服装がそのままであった。
「ネレイス、今のリズの容態は!?」
「あ、危ない状態だって……もしかしたら……うぅ……」
「大丈夫だ、義母さん。必ず……必ずリズは助かる。信じるんだ」
「スウェンの言うとおりだ。今の僕達はリズの無事を祈るしかない」
「……ええ」
ネレイスは徐々にだが落ち着きを取り戻し、椅子に腰を掛ける。スウェンは壁に背を預け、ロイは時計を何度も見ながら、手術中と灯された表示を見つめていた。
そして五時間後……
手術中の表示の明りが消え、手術室から医師がマスクを外しながら出てくる。ロイは医師の前へ行き
「リズは! リズはどうなったんですか!」
「あと一歩遅かったら大事になっていましたが……一命を取り留めました。もう大丈夫ですよ、お父さん」
その言葉に、ロイとネレイスは表情を一変し、喜びに包まれた。
「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
「よかった……」
「……」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ