第二十一話 少年期C
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言うとおりだった。間違いなくアリシアの魔法の関心は俺の影響だ。俺だって身近に魔法を勉強している存在がいたら、気になって仕方がない。自分だってやってみたいと思って当然だ。それを一方的に自分だけ止められたら、危険だからって納得できるわけがない。
原作のアリシアが魔法に関してあまり関心がなかったのは、環境という要因もあったのかもしれない。彼女は魔法に触れる機会がほとんどなかったのだから。辺境に住んでいたため身近に同年代もおらず、母さんたちは開発者で魔導師とは繋げにくい。
だけど、この世界には俺がいた。ただ俺自身が魔法を使いたいから、という理由で始まった魔法と関わる日々。母さんはきっと悩んだのだろう。将来的にアリシアを苦しめてしまうかもしれないことに。
『俺、なにもそんなこと考えていなかった』
『あ、決してマイスターはますたーを責めてなんていませんよ。ある意味、時間の問題であったことも事実ですし。マイスターはアリシア様が選ぶのが一番だと言っていましたから』
『アリシアが?』
『はい。魔導師の道を選ぶのかはアリシア様が決めること。周りが勝手に、魔力資質があまりないからと将来を狭めるのは違うって言われていました。当然困難な道ですから、マイスターは最初に止めるでしょう。でも、それでも目指すのなら精一杯背中を押してあげたいって』
「お兄ちゃん、大丈夫? 具合悪いの?」
「あぁ、大丈夫だよ。ちょっとここの制御式を思い出そうと悩んでいただけだから」
俺は、母さんの考えはすごく共感できた。俺自身アリシアのこれからは本人が決めるべきで、魔力資質で将来を狭めるのはおかしいって思う。思うけど、……それでも俺はアリシアには魔導師になって欲しくなかった。
ただの俺のわがままだ。魔法を使うだけならいい。でも魔法を使う仕事にはあまり就いてほしくない。それだけ危険がはらむかもしれないのだから。だけど決めるのは妹だから、俺はこれからもアリシアが望むのなら一緒に魔法に触れていくのだろう。
それは、単純に問題を先送りしているだけなのかもしれない。妹の魔力資質を本人に伝える時だっていつかきっと来るだろう。祈るのならばその時、せめてアリシアが傷つかないでほしいと俺は願った。
俺はアリシアと問題のやり取りをしながら、勉強を再開した。
******
「あ、チャイムの音だ!」
「……ほんとだ。俺が見てくるから、アリシアは待ってて」
「はーい」
あれから少し時間が経ち、家にチャイムの音が鳴り響いた。いつもなら母さんが管理局に行ったら、入れ違いにお姉さんが来てくれていた。しかし今日は、おじいちゃん曰くお迎えの人が来るからか遅かったみたいだ。
もし間違いだったり、不審者ならまずいためドアののぞき穴か
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