第百五十話 因果応報
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うなのですか。その心が」
「だから。彼女の側にいてくれ」
セルゲイの言葉は変わらない。
「これからもな」
「わかりました」
今度ははっきりと答えた沙慈だった。
「じゃあ僕は」
「またすぐに戦いになる」
セルゲイは軍人に戻った。
「行こう。この世界の平和の為に」
「はい」
これで二人の話は終わった。セルゲイは静かに彼の前から姿を消す。しかし艦内の廊下を歩いている途中で横にいるアンドレイに気付いたのだった。
「どうした?」
「聞くつもりはなかったのですが」
まずはこう返すアンドレイだった。
「聞いてしまいました」
「そうか」
「貴方は嘘をついている」
まずはこう言うのだった。
「彼にはそう言っておきながら自分は」
「わかってくれとは言わない」
息子に顔を向けずにでの言葉だった。
「しかし私は母さんを」
「ではそれをどうやって証明してみせるのです?」
アンドレイはあえて意地悪に父に尋ねた。
「貴方が母さんを愛していたということを」
「そのことをか」
「どうするつもりですか、それは」
「いずれわかる」
今はこう言うだけのセルゲイだった。
「それもな」
「わかるものか」
父のその言葉を否定した息子だった。
「私は貴方を許さない」
「許さないのならそれでいい」
それを聞いても構わないというのだった。
「それならな」
「話は聞きました。しかし」
彼は言うのである。
「私は。それでも」
「ならいい。とにかくだ」
彼は息子に対してまた告げるのだった。その言葉は。
彼等は別れた。父と子の間にも因縁があった。それを隠すことはできなかった。
そしてだった。ロンド=ベル自体も宇宙を進みながらそのうえで。今あるものを見ていた。
「敵は?」
「まだです」
カワッセがシーラに対して答えていた。
「まだ出て来てはいません」
「そうですか」
それを聞いて静かに頷くシーラだった。
「まだ見えてはいないのですね」
「はい」
「そしてレーダーにも映っていないですか」
「はい、まだです」
「まだですよシーラ様」
彼女の周りを飛ぶエルとベルが答える。
「まだ出て来ていません」
「シーラ様は何か感じておられるんですか?」
「はい、そうです」
こう答えるシーラであった。
「来ています。東からです」
「東からですか」
「イノベイターの軍勢は確かに迫っています」
「確かに」
ここでシーラに応えたのはアムロだった。
「東の方からかなりのプレッシャーを感じる」
「アムロ中佐が言うのなら」
「それにシーラ様もだと」
二人のことはもうロンド=ベルの誰もが知っていることだった。
「じゃあ間違いない」
「それじゃあ」
「敵が来る」
「東から」
「そうです。ですから」
察したうえ
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