第百四十九話 アニュー=リターン
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ロックオンはまずは彼女の言葉を信じなかった。
「俺達はあの時確かに」
「言った筈よ」
しかしアニューの言葉は頑なだった。
「私はイノベイターよ。人間ではないわ」
「イノベイターだっているのかよ」
「そうよ」
また言うアニューだった。
「私はね」
「馬鹿な、そんなことが」
「この娘を死なせたくなかったらわかるわね」
「プトレマイオスを出るつもりか」
「そうよ」
こう答えるのであった。
「そうしたらこの娘は解放してあげるわ」
「くっ」
ロックオンは半ば無意識のうちに腰の銃を抜いた。それでアニューを狙った。
「そう来たらな。俺だってな」
「貴方に私が撃てるの?」
しかしアニューはそのロックオンに対して問うのだった。
「この私が」
「何っ!?」
「撃てるのなら撃つといいわ」
また言うアニューであった。
「私をね」
「じゃあ俺も聞こうか」
ロックオンはどうしても引き金を引けなかった。しかしここで彼もまたアニューに問うのだった。
「御前が俺が撃てるのか?」
「何ですって?」
「御前に俺が撃てるのか?」
こうアニューに問うのだった。
「俺がな」
「撃てると言えば?」
「じゃあ撃ってみろ」
アニューを見据えての言葉だった。
「本当にな」
「わかったわ」
クールな言葉でロックオンにその銃を向けた。そのうえで撃とうとする。
しかしだった。引き金にあてた指が動かなかった。どうしてもだ。
「くっ・・・・・・」
「撃てないな」
ロックオンは苦い顔になった亜ニューに対して言った。
「御前も俺を撃てない。俺が御前を撃てないようにな」
「それは」
「戻って来るんだ、アニュー」
ここでロックオンはまた言った。
「ロンド=ベルに。俺達のところにな」
「馬鹿なことを言うわね」
アニューは今のロックオンの言葉を否定しようとした。
「私はイノベイターよ」
「それがどうしたっていうんだ?」
「イノベイターは神よ。神が人間のところに戻れですって?」
「いや、御前は人間だ」
しかし彼はまた言った。
「御前はイノベイターだ。だが人間なんだ」
「人間?私が」
「だから御前は俺を愛したし俺も御前を愛した」
こうも言うのだった。
「だからなんだ。御前も人間なんだ」
「うう・・・・・・」
「さあ、戻って来るんだ」
また言うのであった。
「俺のところに」
「戻ることなんてできないわ」
だがアニューは彼の言葉を拒んだ。
「私には。それは」
「じゃあどうするつもりだ?」
「貴方は私を撃てない」
またこのことをここで言った。
「だから今は」
「行くのか」
「この娘は返してあげるわ」
こう言って実際にミレイナは解放した。彼女はすぐにロックオンの方に駆け寄ったのだった。
「危なか
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