第百三十六話 小天使
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「ここにいる」
「錬使」
「おります」
虫を思わせる者ともう一人であった。
「剛使」
「うむ」
「智使」
「こちらに」
「いる」
巨大な腕を持つ者と老人の顔をした二頭のライオンであった。
「そして双使」
「いるよ、僕も」
無邪気な子供であった。彼等が長老の言葉に応えていた。
「全員いるな」
「それで夜使よ」
頭使と呼ばれた若い男が長老の名を呼んだ。
「これからのことですね」
「その通りだ」
「それならもう決まっていますね」
「確かに」
頭使と音使がそれに応えた。
「人間達を滅ぼす」
「我等の糧とする為に」
「それはわかっているのではないのか?」
両使が夜使に問うた。
「それは」
「その通りだが。しかし」
「しかし」
「何かあると」
「一万二千年前の時とは何かが違う」
夜使はこう智使に告げた。
「何かがな」
「違うというのですね」
「そうだ、違う」
彼はまた言った。
「まずはロンド=ベルだったか」
「あの者達か」
「あの者達がいる」
彼は言った。錬使に応える形で。
「あの者達がな」
「おかげで我等の糧を得られることができなくなっている」
剛使は忌々しげに言った。
「奴等のせいでだ」
「そうだよ。早く何とかしないと駄目じゃない」
双使は明るい声ではあった。
「人間達を捕まえてさ」
「それなのだが」
しかしここで夜使はまた言ったのであった。
「我等は人を糧としなくても生きていけるようだ」
「何っ!?」
「まさか」
「見るのだ」
ここで花に手をかざした。するとそれで彼の手に何かが加えられていた。
「見えるな」
「ええ」
「確かに」
智使達がそれを見て言う。
「糧を得ております」
「しかも花から出される気だけで」
「これを吸うだけで生きていける」
彼は言うのだった。
「我等はな」
「馬鹿な、それはない」
両使はそれを否定した。
「我等は人の糧で生きている。それで何故だ」
「そうだな。それはな」
「有り得ない」
彼等は話をしていく。
「これでは我等のいる意味がない」
「意味!?」
剛使は錬使の言葉に応えた。
「意味とは何だ」
「いや、私は何も」
錬使は自分の言葉を否定したのだった。自分が出したその言葉をだ。
「何も言ってはいないが」
「しかし今言った」
剛使はさらに問う。
「確かにな」
「いや、その通りだ」
ここでまた夜使が言ってきた。
「我等は確かにな。人を糧としている筈だ」
「それがその必要がないとすれば」
「どうしてこの世界にいるのだ?」
「私もそれが気になっているのだ」
夜使の仲間達への言葉は続く。
「何故だ。我々は何故存在している」
「何故かとは」
「それは」
「我々は思い込まされて
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