第十三話『モンド・グロッソscene2』
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隊長、お戻りになられたのですね」
会場の警備本部の休憩室に、スウェンとラウラが居る。
「シュハイク責任官の方はもう大丈夫だろうと思ってな。……しかし予想以上だな、モンド・グロッソというのは」
「21の国が参加しているだけあって中々の規模が」
スウェンは椅子に座り、メーカーで淹れたコーヒーを口にする。コーヒーカップをテーブルの上に置き
「ラウラ、お前はこのモンド・グロッソ、どう考える?」
「唐突ですね……正直、あまり好ましいものではありませんね」
「ほう……何故だ?」
「ISは兵器です。兵器をこのようなスポーツの一環としてとらえる等、私は考えられません」
「成る程、それがお前の考えか」
「スウェン隊長は?」
「俺か?……ISはお前の言ったとおり兵器だ。ここ近年、ISを使っての武力行使等は耳にするか?」
「い、いえ……」
「だろうな。ISと言うのはその性質上、この世界のあらゆる兵器を凌駕した存在だ。その国が保有しているだけで、強力な抑止力となる。だが、人間は他者より優れているものを持ちたがる。よって、より強力な抑止力を持つために研究する。しかしその研究した成果をどうやって他国に見せる? ISで戦争染みた真似をしてみろ、被害は甚大だ」
「だからこうして競技で競い合い、どこの国がより強力な力を、技術を保有しているか決める。と言う訳ですか……」
「あくまでもこれは俺の見解だ。もしかしたら違う意図があって行われているかもしれない。このモンド・グロッソというものを考えた人間は相当のやり手だな……そろそろ始まるか」
耳に響く狼煙の音。第二回モンド・グロッソが開催された。スウェンは立ち上がり、インカムを起動し
「こちら本部、スウェン・カル・バヤン中尉だ。“シュバルツェ・ハーゼ”隊員に伝達、第二回モンド・グロッソが開催された。我々の任は警備だ。不審な者を見かけたら直ぐに通達、現場へ急げ。これは我々“シュバルツェ・ハーゼ”……いや、ドイツの面子がかかっている。この一週間、何としてもモンド・グロッソを何事もなく終わらせるぞ」
『はっ!』
「……良い返事だ、期待している」
そうして通信を切り、ラウラの方を向く。
「お前も持ち場へ向かえ。俺は本部でモンド・グロッソの状況を把握する」
「はっ!」
ラウラは敬礼し方向を180度変え、本部を出て行く。スウェンは再び席に座る。
「何事もないのが一番だな……妙な胸騒ぎがするな」
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