ララバイ編
EP.12 ジークレインとワタル
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だと思いましたが……」
「自分の裁判なのによく言うよ……。なに、大した事じゃないさ。次の聖十大魔導の筆頭候補の顔を拝みに来ただけさ」
「それこそくだらない。自分が最年少の聖十のくせに……それに、俺はそう言うの、興味ないんですよ……」
そう言い捨てると、ワタルは跪いている使者を無視して、ジークレインの横を通り過ぎるその瞬間、使者に聞かれないように、小声で話し掛けられた。
「じゃあ、一つだけ……あの事はじじいどもには言うな」
「……弟の事ですか?」
「分かっているならいい……じゃ、俺はこれで失礼するよ。評議員の一人として、な……」
そう言うと、ジークレインの思念体は消えた。跪いていた使者は立ち上がると、ワタルに話し掛けた。
「アンタ、凄い人と知り合いなんだな……」
「そうですか? ……それより急がなくていいんですか? 時間……」
「あ……そうだな……」
――弟、ね……ホントにそうならいいが……。
使者に応えながらも、ワタルはその足を進めた。
= = =
場所変わって妖精の尻尾では……一番暴走しそうなナツをマカオが捕まえてトカゲにして、コップの中に閉じ込めていたのだが……実はそのトカゲは借りを返すためにマカオ本人が変身したものだった、という事が判明していた。
ギルドのメンバーは、アイツなら評議員すら殴りかねない……などと狼狽え、マカロフがそれを鎮めたり、という事があったのだが……。
その日の夕方。
何故かワタルが逮捕されてからギルドに姿を見せていなかったエルザが、ぐったりしたナツを引きずってギルドに帰還した。
「今帰ったぞ……」
「あ、どこ行ってたの、エルザ……って、ナツ!?」
「ああ、このバカが『アイツらに一言言ってやるんだ』とか言って聞かなかったのでな……少し仕置きした」
「す、少しって……って、そうじゃなくて! エルザは心配じゃないの!?」
ルーシィは、ナツのやられ具合に少し引きつつも、エルザに詰め寄った。ギルドの他の大多数のメンバーも、ルーシィと意見は同じようだった。
「心配って……何がだ?」
「何がって……ワタルが連れてかれちゃったのよ!? それを……」
何を言っているのか分からない、と言う風に首を傾げるエルザに対し、ルーシィが尚も詰め寄ろうとしたその時……
「俺が……なんだって?」
この場にいないはずのワタルの声がして、入り口に姿を見せた。
「そうよ、ワタルが……って……」
「「「えーーーーー!!??」」」
「うるさいなぁ……」
ギルド中に、大声が響き、ワタルはその音量に両手で耳を塞いだ。
「な、なんでいるのよ!? 逮捕された
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