ララバイ編
EP.12 ジークレインとワタル
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ったく……って、あなたは!?」
ワタルの軽口に使者は文句を言っていたが……柱に誰かが寄り掛かっているのが見え、それが誰なのかが分かると、急に跪いた。
「久しぶりだな……“黒き閃光”、ワタル・ヤツボシ」
「……フェルナンデス第九評議員、何か用ですか?」
「フッ、相変わらず固いな……二年前に会った時と変わらない……」
ジークレインの苦笑しながらの言葉に、ワタルは目の前で笑う、青髪の右目に紋章のある男と会った時を思い出した。
時を遡る事二年前……ワタルはマカロフの代理として、エルザと共に、評議院フィオーレ支部へ妖精の尻尾の魔導士がやらかした事の始末書を提出しに来ていた。
「ったく……色々壊し過ぎだ、アイツら……。なんで俺がこんな事を……」
「まぁ、起きてしまった事は仕方ないだろう。次に生かせばいい」
「……お前が言うか? ナツの次に被害が大きいんだが……」
「う……面目ない」
ワタルの溜息交じりの指摘に、エルザは凹んでしまったため、ワタルはどうしようかと考え、ある提案をした。
「……ま、お前のいう事にも一理あるな……。これ終わったらどっかで飯でも食べるか? クロッカスの方まで来る事なんて滅多にないし」
「! そうだな、それが……ッ!?」
提案に顔を輝かせたエルザだったが……ワタルの肩越しに、見覚えのある青髪の男を見つけ、全身を硬直させた。
「? ……どうした、エルザ?」
「……なんでアイツがここに……いや、いるはずが……」
「エルザ? ……あ、おい!」
不審に思ったワタルが声を掛けても、エルザは心ここに在らず、と言った状態で呟き始め……いきなり駆け出した。
ワタルは面食らったが、放っておく訳にもいかないので、彼女を追いかけた。
幸いすぐ近くに目的があったようなので、エルザに追いつくのに時間は掛からなかった。
「やはりそうか……何故貴様がここにいる!? ……ジェラール!!」
――ジェラール? 聞いた事ある名前だな、確か……って、それは後だ!
追いついたはいいが、剣を手にその男に襲い掛かったエルザを、ワタルは手で制して止めた。
『ジェラール』という名前には聞き覚えがあった。妖精の尻尾に入る前のエルザとの旅の途中で、彼女の寝言で言っていたのを思い出したのだ。
自身も人には言えない過去を持っているため、それについてエルザに言及する事は無かった。だが……悪夢に魘されている彼女を見るのは、正直辛かった。
「止せ、エルザ……それは思念体だ。それに、確か彼は……」
「ほう、知っているのか……俺は魔法評議員九ノ席、ジークレイン・フェルナンデスだ。……君が言っているジェラールは俺の弟の
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