ララバイ編
EP.12 ジークレインとワタル
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威”に弾かれて霧散した。
――随分成長したな、ナツの奴……だが、それではエルザには勝てないぞ。ここからどうする?
「な? いい勝負してるだろ?」
「ハッ、どこがだよ」
「……僻みか、グレイ?」
「な、何だと!?」
「冗談だよ……試合、動くぞ」
ちょうど近くにいたエルフマンとグレイの会話に混ざりながら、魔力の高まりを察知したワタルは試合の様子を注視した。
「随分強くなったな、ナツ」
「ハッ、まだまだこれからだぞ、エルザ!!」
ナツの拳とエルザの剣がぶつかり合う、その瞬間……!
パァン!!
乾いた音がその場に響き、両者の動きが止まった。
「全員動くな、私は評議院の使者である」
現れたのは……カエルだった。
「先日の鉄の森によるテロ未遂事件において、器物損壊ほか11件の罪の容疑で……」
思わね乱入者に騒ぐギルドの魔導師達をよそに、使者と名乗ったカエルは罪状を読み上げ……
「ワタル・ヤツボシの身柄を拘束する」
ワタルの拘束を宣言した。
「なんだとー!?」
「何故ですか!? だって、ワタルは……!」
「止せ、ナツ、エルザ。……俺だけ、ですか?」
驚きと怒りを込めた声を放ったナツとエルザを制すと、ワタルは確認するように使者に尋ねた。
「あぁ、そうだ。こちらとしては大人しく従ってもらいたいのだが……」
――なるほど、茶番って訳か……。囲まれてるし、下手にごねても面倒か……なら、俺がするべき事は……。
「分かりましたよ……ルーンナイトの配置、解いても大丈夫ですよ」
「チッ……おい、部隊を集めろ」
舌打ちをして、観客に紛れ込ませていた検束部隊・ルーンナイトの隊長に指示を出す使者を尻目に、ワタルはエルザに向き直って言った。
「じゃあエルザ……皆をよろしく、な」
「! ……ああ、任せておけ……」
「エルザ!? いいのかよ!?」
「「黙ってろ、ナツ!」」
「ハ、ハイ!!」
大人しくワタルの拘束を認めたエルザに対し、ナツは何か言おうとしたが……当の本人たちに凄まれ、大人しくなった。
――よし、エルザには伝わったみたいだな……。
「……じゃあ行きましょうか、使者殿?」
「フン……」
使者は鼻を鳴らすとワタルに手錠を掛け、その場を去り、ワタルも抵抗することなく使者に続いて行った。
= = =
評議院フィオーレ支部、ワタルは広い廊下を歩いていた。
「……別に暴れやしませんから……この手錠、外してくれませんかね? 窮屈でしょうがないんですけど……」
「我慢しろ。自分の状況が分かってないのか、ま
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