GGO編
百十一話 消えない叫び
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た。
『ぁ……』
小さな枯れた声が漏れ、即座に……
『ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!!!!』
それが、絶叫に変わった。
──────
『なんで……』
『ん?』
ひとしきり絶叫し終えて、後ろに尚も立っていた男に、私は投げかけた。
『なんで、あの子を殺したの!!?』
凄まじい剣幕だったのだろう私の声に慌てたように、男は返した。
『お、おいおい、勘弁してくれよ。普通攻撃されたら反撃するだろ?』
『だからって、殺す事……!』
『いや、そりゃしょうがねぇだろ?俺のビルドは一撃特化なんだよ』
『そんな……そんな理由……』
詰め寄りながら、私は涙を流して男を睨んだ。
でも男は面倒臭そうに、頭を掻くと……
『あのよぉ……』
こう言った。
『“自分の命を守るために、他人の命を奪う事の一体何が悪いってんだ?”』
『な……』
『抵抗せずに殺されるなんざ、俺はまっぴらごめんなんだよ』
そう言って、男は振り向き、歩きだした。一瞬その背中に持っていた剣を刺したくなる衝動にかられたけど、やった瞬間私も殺される気がして、怖くて出来なかった。その代わり、精いっぱいの思いで、言葉を投げつけた。
『許さない……』
本当に、精いっぱいの思いで。
『絶対に……私は貴方を許さない……!!いつか、いつか絶対、アイリの仇……!!』
『……好きにしろよ』
ぷらぷらと後ろ手に手を振ってその男は去って行った。
装備の特徴から、その男が「ジン」呼ばれるトッププレイヤーだと知ったのは、それから数週間が経ってからの事だった。
────
「……これで、私の話はおしまい」
「…………」
「…………」
アイリの話しを聞き終わったキリトとシノンは、ただ、無言でそこに居た。言葉を紡ぐことすら、出来ない。それほどに、アイリの過去は凄惨過ぎた。
今も、アイリの、美雨の耳の奥深くには、あの日聞いた彼女の絶叫と、助けを求める懇願の声が消えない叫びとなって残っていた。
キリトが問うた。
「兄貴が……そんな事を……?」
「そ、私の親友を殺したのは……リョウだよ」
「…………」
シノンも、キリトも、完全にだまりこっくってしまった。苦笑しながら、アイリは問う。
「ちょっと意地悪かもしれないけど……どうかな?まだ、リョウを信用してあげられる?」
「…………」
すぐには、答えは返ってこなかった。アイリは少し複雑な気持ちで地面を見る。そうして、どうフォローした物かを考えだす。だが……
「出来る……」
「…………!」
シノンの小さな声が、その思考を遮った。顔を上げると。思案顔の、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ