GGO編
百十一話 消えない叫び
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ップしたように、下品な笑い声を上げてあの子を痛めつける。
私は麻痺毒から逃れようとして暴れまわったけど、そんなことで毒が消える訳も無く、動けないまま唯芋虫みたいにのたうち周るだけ。あんな連中でも、私の麻痺毒が消えるタイミングと、あの子のHPが消えそうになるタイミングだけは見逃さなかった。
一度だけ……あの子と目が合った。
『助けてよ……スィぃ……』
必死に、その手をこっちに伸ばそうとしたあの子の手を、私は体を引きずって掴もうとして、でも、掴む前に、その手も、姿も、オレンジ達の鎧の向こう側に見えなくなった。
そんな悪夢は、二時間近く続いて、やがてアイツらは、私のアイテム全てを奪って、あの子のアイテムは奪わずに、その姿を消した。同時に、私より遥かに速くその毒が切れていたあの子は……そのまま、何処かにその姿を消した。
何重にもなった毒が十分たってようやく消えてから、私はその層で私達が止まっていた宿、フィールド、あらゆる場所を探したけれど、結局、あの子は見つからなかった。
次にその子の行方を掴めたのは、四か月も後。私たちが襲われた14層より遥かに上。28層での話しだった。
その層に居るとされていたオレンジギルドが、何者かに壊滅させられた。と言う噂を聞いたのは、ソロになって少しずつ上層に向かって進んでいる中で、手に入れたドロップ品を売ろうとプレイヤーショップに入った時。それが、私達を襲ったギルドの話だと言うのは、活動しているギルドの特徴や、襲われてからずっと追い続けてきた情報で分かった。
壊滅したことは素直に喜べたけど、その時同時にもう一つ私の耳に入った話しが、何となく心の何処かに引っかかって仕方なかった。
曰く、それを引き継ぐように、女性のオレンジプレイヤー一人が。その層で出るようになったって話。その女は男性プレイヤーばかりを襲っては、HPをギリギリまで減らし無理矢理ポーションを飲ませて回復させ、いたぶる。最近では一人が犠牲になったと言う話を聞いた時には、私はその人達に駆け寄って話を聞いて居た。
それから三日後。もう一人が犠牲になったって話を聞いた時点で、私はその犠牲が出たっていうダンジョンに走った。何人かできた友達には止められたけど、そんなのは耳に入らなかった。
夜まで掛かってその岩山系のダンジョンを探し回り、そうして月が高く上り、アインクラッドの内部を照らす頃になってようやく、私は目的の人を見つけた。
あの子は、岩壁に両手をダガーで刺して固定した男性プレイヤーと向き合って、銀色の月に照らされながらそこに居た。
『■■■ッ!!』
『?』
私が名前を叫ぶと、あの子はこっちを向いてくれた。でも、私の瞳には同時に、一番見たくないものが見えてしまっていた。
あの子のカーソルは既に、毒々しいオレンジ色に染まっていたの
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