GGO編
百十一話 消えない叫び
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居たの」
「……」
「えっ……」
シノンが驚いたように声を上げたが、キリトは当然ながら驚きはしない。自分の通うあの学校に居ると言う事自体、つまりはそう言う事だからだ。
「私は、中層の、それも下の方で、絶対に大丈夫なレベル帯の所だけで狩りをして生活してる、そんなプレイヤーだった。何時もね、友達と二人だったんだ」
「友達……?」
「うん。リアルでも友達で、私よりもネットゲームが好きだった。ちょっと人見知りだけど、優しくて、私とは前衛と後衛でコンビ組んで、一緒に頑張ろうって、ゲームを始める前から話してた」
「…………」
キリトは既に、この時点で、アイリの語る物語の行きつく先が見え始める。それはそうだ。何故なら……
「でも、突然あんなことになって、家に帰れなくなって、あの子も私も、パニックになっちゃった。始まってからしばらくは、ずっと二人で始まりの街にこもってて、泣いてない日は、無かったかもしれないなぁ……」
「…………」
「でも、二か月半位経って、だんだん私は落ち着いて来てた。あの子も、まだそれでも不安定で、外の世界を怖がってたけど、でも、一緒に行くって言ってくれた。そうやって、私達は外に出たの」
何故ならそれを語るアイリのだんだんと、悲しみの色を増していたからだ。
────
私達の冒険は、始めはそんなに問題なく進んでた。下層とは言え、モンスターたちは怖かったし、あの子は何度も悲鳴あげたりしてたけど、前衛で盾剣士だった私が押さえて、あの子が後ろから槍で突く。そうやって、一体一体モンスターを倒して行って、だんだん心を慣らして、レベルを上げていった。
私が、しっかりしなくちゃいけないって思った。あの子はずっと少しだけ不安定で、おびえ易くなっちゃってたのに、それでも私と一緒に来てくれたから。
私だって少しは怖かったけど……でも、そんなのなんともなかった。私が、あの子を守らなくちゃいけないんだって、ずっとそう思ってたから。
いつか、ゲームがクリアされるその日まで。攻略なんか出来なくたっていい。でも、生きることをやめたくは無くて、少しでも人間らしい暮らしがしたかったから。私達はその思い一つで、未知の世界をゆっくり、ゆっくりと進んで行った。
いや、今思えば、そう思っていたのは私だけだったのだろう。彼女を守るなんて言うのは、私の、思いあがりだったのだろう。
あの日……アインクラッド、第14層夕方のフィールドで、私とあの子はオレンジプレイヤー数人に襲われた。
初めに、私の肩に行き成りダガーが刺さった、麻痺毒それで麻痺った私の前で、あの子もそれを喰らって、倒れた。私達を襲ったそいつらは、もう少し上の層に居られるレベルに達しているにも関わらず、わざわざ下層に降りて来て人を襲うって言う、最低な連中だった。
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