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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十一話 消えない叫び
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その、兄貴の言ってた、“仇”……って?」
「…………」
キリトは、それを聞いた途端に、アイリの表情や雰囲気に、何かしらの変化が有ると予想していた為、それを聞いてもアイリが何のアクションも起こさなかった事に、内心少なからず驚いた。相変わらずアイリは少しだけ微笑み、キリトに返す。

「キリト君は、それを聞いても良いのかな?」
「え……?」
「キリト君、キミならこの意味分かると思うけど……知らなかった方が良かったって、後で後悔する事って、きっとあると思うな」
そう言ったアイリの顔は、相変わらずの微笑みだった。しかし、此処に来てキリトは先程の印象の間違いを知る。アクションが無い等ととんでもない。その瞳の奥に、深い影のような物が宿っているのが、キリトにもようやく分かった。同時に、アイリの言葉の裏側も、キリトは理解する。

「聞かない方が良い」と言う優しい言葉では無い。おそらく、内心ではこう言いたいはずだ「聞くな」と……しかし……

「……それでも、聞いておきたい」
「……どうして?」
「……知らなかったら、後で後悔する事だって、きっと有ると思うからさ」
「…………」
真顔で言った言葉に、アイリは一瞬だけポカンとした表情になった。と、それに続くようにシノンが言う。

「私は別にかまわないわ、もう何言われたってリョウ兄……リョウに態度変えたりしないって決めてるから」
「そ、そうなんだ……」
聞こうと思っていたアイリは逃げ道をふさがれたからか苦笑気味に笑うと、少し溜息を吐いた。

「あぁ、もう……困っちゃうなぁ……」
「……頼む」
アイリに向かって、深々と頭を下げる。彼女は慌てたように両手を振った。

「わわわわ……!そんな頭下げないで!」
パニクったように言って、その後うなだれるようにアイリは首を垂れる。

「わかった。話すよ……でも、これで後でリョウに怒られたりしたらキリト君のせいにするからね!?」
「う……は、はい……」
若干怒ったように言うアイリに、キリトはおとなしく頭を下げる。若干恐ろしかったが、四の五言っても仕方がない。
キリトが頷いたのを確認して、アイリは再びその顔に微笑を浮かべる。顔そのものは幾らか幼げなのに、その表情の方はどこか大人びていて不思議な魅力が有った。

「じゃあ、先ずは問題出そうかな」
「え?」
「問題。私は、だれでしょう?」
「は、え?誰って……」
キリトが上向いたのを見て、付け加えるようにアイリは言う。

「あぁ、「アイリさんじゃ」とかそう言うのじゃないよ?私の、リアルは誰でしょう。って事」
「え、えぇ?」
「私は、キリト君のリアルが誰だか、知ってるよ♪」
「なっ……」
ふふふ〜とからかうように楽しげな含み笑いをして、アイリはニコニコとキリトを見る。キリト
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