GGO編
百十一話 消えない叫び
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「んじゃまぁ、ちょっち行ってくらぁ」
洞窟の入口の方へと歩き出したリョウがそんなことを言った。同時に三人から声が返ってくる。
「頼んだ」
「頑張ってね!」
「……気を付けて」
「お〜う」
のんびりとした声で返し、リョウは洞窟の外へと出て行く。アイリには何となく、その背中が頼もしく見えていた。
あの後、とりあえず今後どうするか、と言う話が第一の話題になった。結論から言うと、シノンやアイリを撃たせないためには死銃を倒すしかない。と言う事になり、なので、四人は二人二人の組で行動することにしたのだ。
先ず、車に乗ってこの砂漠から脱出、離脱するのは、当然死銃に狙われている二人だ。運転はアイリがする事になった。どういう訳か覚えの良い彼女は、一応基本的な事だけならば車の運転だろうと即座に覚えてしまった。残る二人、死銃に撃たれても死ぬ心配の無い二人は、無論死銃の相手だ。その場に置いて彼を見つけ出し、無力化。即ち撃破する。そうすれば、現実世界に居るであろう二人の殺人者も、
さて、しかしその離脱が成功するのには、一つ条件が有る。即ち、死銃本人がこの砂漠に居てくれなければ意味が無いのだ。と言う訳で、四人の内一人がいったん九時半のサテライトスキャンにわざと身を晒し、死銃に位置を伝える事で彼をおびき出しつつ、ついでにBob自体の現在状況も確認すると言う事になった。で、その担当になったのがリョウと言うわけである。そんなこんなで、リョウはしっかりとした足取りで、洞窟を出て行った。
リョウが居なくなると、再び洞窟は沈黙に包まれた。キリト、アイリ、シノンの三人は互いの顔を見合うと、何となく溜息を吐く。
別に互いが互いを頼りないと思っていたりするわけではない。唯なんとなくここ数十分緊張しっぱなしなので、三人とも疲れているのだ。
「なーんか、疲れちゃうね」
「ここ十数分の間に三日分くらいのストレス受けてるような感覚だよ」
「そうかも……」
三者三様に言葉を紡ぐ。と、アイリはそんな中で、キリトが妙に真剣な顔で何かを考えているのに気が付いた。
「どうしたの?キリト君」
「え?あ、あぁ、いやその……」
首をかしげて尋ねる。と、キリトは焦ったように頭を掻いた。
「アイリさんは……兄貴と知りあいだったりするのか?」
「え?どうして……ってあぁ、さっきの事?」
先程派手に言い争いかけてしまった事を思い出して、アイリは苦笑しながら尋ねる。と、キリトは言いずらそうに返した。
「いや、その……その後も結構知り合いっぽい感じだったし……」
「あー、あはは。そう言えばそうだねぇ」
なんだかんだで、言い争いかけてからは互いのリアルが言わずとも知れてしまったので、そんな風になってしまったかもしれない。
と、キリトの言葉は続いた。
「それに
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