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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十三話「葛藤と決断」
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ってくれてるのは素直に嬉しいかも。


「そろそろ行くか。そういえば、まだ寮を見ていなかったな」


「あ、俺も」


 寮か……どんな所なんだなろう。寮生活だなんて生まれて初めてだから、今からドキドキするな。





   †                  †                  †





「…………」


 俺たちは今、寮と思わしき場所に来ている。着ているのだが、


「なに、ここ……」


 寮は確かに立派だ。マンションのような六階建ての建物は一見して外観は広い。けれど、立地条件が酷すぎる。


 寮の真ん前には何故か墓地だし、不気味な鴉や爬虫類がそこらかしこに生息している。すごく不気味な雰囲気だ。こ、こんなところで三年間生活するの……?


「ほぅ、威厳ある風格の建物だな。悪くない」


「ええっ!? ちょ、趣味変わってない!?」


「なんだ、月音はこういうのが苦手なのか? 妖怪なのに」


「うっ」


 そうだった、モカさんはバンパイアなんだ! よ、妖怪はこういう所が魅力的に映るものなのか!?


「ほら、さっさと行くぞ」


「あっ、待ってよモカさん!」


 スタスタと先に行くモカさんを追い、俺もその後に続く。寮内は普通の内装だったのが、唯一の救いだった。


 一階のホールで男女別に寮が別れているため、モカさんと別れた俺は割振りられた自室へと赴いた。


「あ、よかった。普通の部屋だ」


 部屋の間取りは意外と良く、掃除も行き届いているみたいで清潔感があった。荷物を置いてベッドに身を投げ出す。


「どうしよっかな、俺……」


 学校を辞めるか、それともこのまま残るか。どちらにせよ、早々に答えを出さないといけない。


 折角できた友達であるモカさんとは離れたくないけど、先生の言っていた通り俺には自分の身を守る力は無いし、かといって三年間、自分の正体を隠し通せる自身も無い。


「ああ〜! どうしよぉ〜!」


 ジタバタとベッドの上を転がる。


 ――眠れない夜が訪れそうだ。





   †                  †                  †





 翌日。なんとか今日も一日生き延びた俺は校舎の廊下を歩いて寮に向かっていた。


 結局、昨日はあれから一睡もできなかった。万が一に備えて退学届を書いちゃったけど、未だ迷っている。


 本当はこんな学校さっさと出て行ったほうが良いのは分かっているのだけれど、いざとなるとモカさんの顔が脳裏に過って踏ん切りがつかなくなる。



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