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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十二話「陽海学園」
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親に迷惑を掛けたくなかったし、他に行く場所も無かったから受けてみたのだが。


 ――これなら受けなきゃよかったよ! 早く……一刻も早く逃げ出さないと!


 早くホームルームが終わりますようにと神様に祈る。


「ふむ、確かに中にはそういった過激な考えを持つヒトも居ますね。しかし、先ほど言った通り人間との戦争となれば、妖怪側も大ダメージを受けることとなります。それに、人間もただ黙って喰われることはありません。あまり人間を舐めていると、手痛いしっぺ返しを食らいますよ?」


「ハハハッ! 面白いことを言うなセンセェ! 人間が妖怪に勝てるわけないじゃん」


 ――そうだよ先生! 人間が妖怪に敵う筈がないよ! 銃とか持ていれば別だろうけど!


 笑いに包まれるクラス。全員同じ意見なのか誰もが先生を笑っていた。


 苦笑した先生が肩から狐を降ろす。


「いやいや、それが――意外とそうでもないんだな、これが」


 先生の姿が消えたかと思えば、いつの間にか物騒なことを言ていた生徒の後ろに立っていた。その首に何処からともなく取り出したナイフを突きつけて。


 ――なに今の、全然見なかったんだけど……! えっ、一瞬で移動したのか!?


 細めた目で周囲を見渡す先生。その目はとても冷たく、ナイフを突きつけられたのは俺ではないのに背筋が凍るような感覚が襲った。


「確かに妖怪に勝てる人間というのは数が少ない。が、皆無ではない。現に君たちが見ていた通り、先生の実力は妖怪に勝ると自負している。だからこそ、この学園で教師をしていられるのだがね」


 他の人たちと同じく唖然とした顔で見ていると、ナイフを降ろした先生が生徒の肩をポンポンと叩いた。


「小宮くんもすまなかったね。だけど、いい経験になっただろう?」 


 肩を震わすだけで何も言わない生徒を背にし、再び教壇に立つ。


「話が少し脱線してしまったな。――話を戻しますが、この学園で過す上で、校則として皆さんには人間の姿で生活をしてもらいます。人間との共存の基本は人間社会に溶け込むこと。すなわち上手く人間に化けることが基本となります。自分の正体が他人に知られないように注意してください」


 チャイムが鳴った。先生の号令に合わせて礼をして、その場は解散となる。


「あの、先生……!」


 その後、直ぐに教室を出た俺は先生の後を追った。ペットを指で突っついて遊んでいた先生が振り返る。


「ん? どうした」


「その、話があるんですが……」


 俺の顔を見た先生は何かに感付いたのか目を細めた。


「込み入った話か?」


「はい」


「ふむ……。わか
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