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故郷は青き星
第二十一話
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「梅ちゃんに認めてもらってもなぁ〜」
 残念そうにそう呟く。実際、自分の技量は戦果ポイントとして目に見える数字で表示される。腕が良い悪いよりも実際に戦ってポイントを稼げるかどうかがプレイヤーとしての強さだと柴田は考えていた。それに自分の技量は、信頼できる仲間として自分が認める山田と尾津に認めてもらえればそれで良かった。
「私の何が不足だという!」
「主に人格面?」
 言い方は悪いが、逆に技量に関しては認めているという事だった。もっとも柴田としては自分の方が上であると確信した上で『認めてる』と思ってるだけだった。
「じ、人格否定?」
 だが正面から人間として大切な部分を否定された梅本は唖然とする。既に読者の方はお気づきと思うが梅本雨音は柴田に対して…………ストーカー行為を行っている。
 ネット上限定とはいえ、ログの開示を求めて裁判に訴えれば柴田が勝訴するのではないかと言うくらいの付きまといで、柴田が梅本に対して「この女、良く絡んでくるな」と感じているのは氷山の一角に過ぎない。
 今回の柴田の募集に対してギリギリに同調開始のギリギリのタイミングで応じたのは、作戦が始まった後でのチーム解散は撃墜時と同じペナルティーが発生するので断られ難いと判断した上での行動だった。

 梅本雨音。本名梅木雨月(うめきうづき)はフランス人とハーフである父親とアメリカ人の母親を持つスリークォーター(3/4)だった。
 そのほとんど白人女性な容姿と名前のおかげで──彼女が産まれた時、大学で日本文学を専攻していた母アレクサが、自分の好きな雨月物語から名前を取って雨月(うげつ)としたが、父、隆が『うげつ』では余り女の子らしくないと余計な事を言ったため、読みを『うづき』と変更して出生届を出してしまった。その一ヶ月ほど後に、隆は愛娘を抱き上げて名前を呼びかけながら「梅木雨月……うめきうづき……呻き疼き。誰だこんなエロい名前つけたの?」と口にしてアレクサに死ぬほど殴られた──中学校からイジメに合い登校拒否。学力は十分に高かったため、中学卒業と同時に家族は地元を離れて、とある名門お嬢様学校に入学する。
 名門お嬢様学校だけに名前でイジメるという生徒はいなかったが、基本ビビリ──攻撃的な性格は小心の裏返し──な彼女は中学校時代のクラスメイトへの恐怖心から未だ立ち直って折らず、クラス内に友達を作る事は出来ず、趣味といえばネット関連で、ネットゲームにのめり込んだ結果にDSWOプレイヤーとなっていた。
 柴田同様にオープンβには参加しておらず、公式運営開始第一陣としてゲームを始め、最初のプレイで小型種に追い掛け回されて撃墜されそうになった時に、柴田に助けられて、それ以来彼の事が気になってストーカーへと成り下がっていたのだった。
 勿論、柴田は誰かを助けたという意識は無い。単にス
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