第二十一話
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ジした良く分からない視覚効果──実際、同調開始処理に時間が掛かるわけではないのだが、エルシャンが強く主張して5秒間視覚効果のイメージ映像が挿入された──が始まると同時に目の前に『チームへの参加者が現れました』というウィンドウがポップする。
「ナイスタイミング!」
効果処理が終わった後、SF/A-302──結局機種転換した──のコックピットの中から僚機への通信をつなぐと目の前のポップアップしたウィンドウの中に現れたのは、見慣れた白人美少女の顔。
「ネカマの梅ちゃん!」
柴田は驚きのあまり指差して叫んだ。
『しつこいわね、私はネカマじゃないって言ってるでしょ!』
そうやって一々むきになって反応するから、からかわれるのだが……根は素直な娘なのかも知れないと柴田は思った。しかし彼女をからかうのを止める気は一切無かった。
「ネカマは皆そうい──」
『それはもう聞いたわ。大体梅ちゃんって呼ばないでくれる? 馴れ馴れしいわ』
「安心してくれ。決して親愛の情から梅ちゃんと呼んでるわけじゃないから」
人間としてどうなのかと疑問を感じるほどの毒舌を柴田は爽やかに披露した。
『じゃあ何よ!』
「……それで何でお前がいるんだ?」
『話を逸らさないでよ』
「言わぬが花。知らぬが仏と言うだろ……で何で?」
どう考えても酷い話だった。
『くっ……アンタに私の実力を見せ付けてやるためよ!』
「へぇ〜」
梅本は気合を入れて宣言するが、柴田の反応は屍なみに薄かった。
『アンタみたいに仲間と馴れ合ってエース気取りの奴に、ソロプレイヤーの実力を見せてやるのよ!』
「はいはい。作戦開始だ頑張ってね」
梅本とでは連携するのは無理だと諦めた柴田は、小型種の編隊に機首を向けると出力最大にして突撃を開始する。
『ちょっと待ちなさいよ!』
慌てて梅本も柴田の機体を追って加速を始めた。
「ふ〜ん、やるね梅ちゃん」
自機の背後に張り付いた小型種を、柴田が振り切ろうと操縦桿を動かすより先に、すれ違い様にレーザーの一閃で撃ち落した梅本の技量と視界の広さ。そして判断力に賞賛を送る。
『当たり前でしょう! 私を誰だと思ってるのよ』
「知らんがな!」
柴田は機体をひねって急ターンに入ると、梅本の機体を斜め上から待ち構えていた小型種5機を荷電粒子砲の斉射で蒸発させる。
『や、やるわね』
「梅ちゃんがやっかむ程度にはね」
『だ、誰がやっかむなんて』
そう言いながらも、互いをフォローしあい確実にスコアを稼いでゆく。急造のペアにしてはかなり息の合った二人だった。
「貴方の事、認めてあげるわ」
作戦終了後のブリーフィングで梅本が上から目線の発言を放つ。こういう性格が彼女をゲーム内ボッチにしているのだが本人には自覚が無いようだった。
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