第一章 無印編
第二十話 『外伝1 なのはのシホちゃん観察記録』
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…それからはクロノ君が惨めに思えるほどの惨劇の幕が上がった。
シホちゃんは一匹釣り上げるたびに「フィィィシュッ!!」と声高らかに叫んでいた。
「…ふふ、ここはいい海ね。とても新鮮な魚が釣れるわ。おっと、十五匹目フィィィッシュッ!!」
「うるさいぞ! 魚が逃げるじゃないか!?」
「ふっ…腕のなさを他人の所為にするなんて愚かねクロノ。近場の魚が逃げるなら違う場所に移動するかリール釣りに変えればいいじゃない。
もっとも、釣り場選びのなんたるかも理解できていないものにいってもしょうがないでしょうけどね。おっとごめんね、十六匹目フィィィッシュ!!」
「くうっ…!?」
クロノ君の意外な一面に驚かされたけど、シホちゃんはそれを輪にかけて普段の凛々しい姿から遠ざかっている。
でもクロノ君もまんざらでもない様子なのでまだ当分続きそう…。
「フフフ…この分じゃお昼を待たずに勝負がつくわね。軽い準備運動で始めたんだけど様子を見るまでもないわね。
…ねぇ、クロノ…別にこの港の魚を釣りつくしても構わないでしょう?」
「やれるものならやってみろ! 絶対に負けないからな!」
「よく言ったわ、クロノ! どちらが漁港最強か、あなたの心に深く刻み付けてあげるわ! と、十七匹目フィィィッシュ!!」
そしてシホちゃんとクロノ君の熱い勝負は昼過ぎを持って圧倒的数の差でシホちゃんの勝利となった。
クロノ君はそれで少し燃え尽きていたのが印象的だった。
だけどそこでシホちゃんは「ハッ!?」といった顔をして、
「わ、私はなにを…!?」
と顔を赤らめて、
「ごめんなさい、クロノ! 別にあなたの釣りを邪魔するつもりはなかったのよ!?
ただ、なんていうか…その、突然周りが見えなくなったっていうか…それで、そのー…ッ!」
シホちゃんは正気に戻ったらしくとてもあたふたして赤くなった顔を片手で覆って何度もクロノ君に謝罪している。
その必死な姿に私は思わず「可愛い…」と呟いてしまいました。
それがとどめだったのかシホちゃんは「はうっ…!」と可愛い声を上げてその場にへたり込んじゃった。
…だけど、それでなぜか私以外全員が顔を赤らめていたのがなぜか非常にムカッとしたのはなぜでしょうか?
それから結局、シホちゃんはもう吹っ切れたのかクロノ君に魚をクーラーボックスごと譲って「美味しく食べてね…」と爽やかな笑顔で渡していた。
とうのクロノ君はただただ頷くばかりだった。
そしてクロノ君は、
「そ、それじゃ僕はもう帰るとしよう。また…」
と言ってすぐにどこかに行っちゃった。
◆◇―――――――――◇◆
「はぁ…恥ずかしいところを見せちゃったわね。二重な意味で…」
「そんなことないよ? シホちゃんの意外な一面
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