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茨の王冠を抱く偽りの王
18.交差する道
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「王様は待ってて。いのりは私に任せて。王様はシュウをお願い」

シオンがいのりを追って外に出て行く。

「集......いつまでそうしてるつもりだ」

「......ゴメン、みんな......ゴメン」

倒れる集を無理矢理起こし、胸ぐらを掴む。

「集!!お前は何がしたいんだ!!!みんなに謝りたいなら直接言え!!」

「......ゴメン......ゴメン.....みんな.....」

「......クッソ!」




日がくれる......だが、いのりとシオンは帰って来ない。
集は柱にもたれかかり電子端末で何かを見ている。

集が変わったのは俺のせい......俺が勝手な行動をしたから...俺が弱かったから......大事な仲間を.....祭を失うことに.......

このヴォイドで時が戻せるなら......あの頃に戻って馬鹿な俺をぶん殴ってやりたい。

気分転換に外に出る。
結晶が残る腐り切った風景。
第二次ロストクリスマスが起こした悲劇。
そして、東京封鎖によって起きた大量虐殺の惨劇の後。

「カイ!!!」

シオンの声で"カイ"と呼ぶ声が。
シオンが俺のことを"カイ"と呼ぶ時は何かある時だけだ。

シオンの方を見ると.......シオンの顔には血のあとが......
だが、シオンの顔から血が出たようには見えない。
シオンは俺に飛びついてくる。

「シオン?」

シオンの体は震えていた。

「カイ.....カイ.....カイ」

「どうしたんだ?」

「わからない、わからないの。.......自分がわからないの」

その目には大粒の涙が流れ落ちる。
俺は何も言わずシオンをそっと抱きしめた。




そのまま寝てしまったシオンを中に運ぶと集が眠っているいのりの前にご飯を作っていた。

その横にシオンを寝転がらせる。

「集、シオンにも」

集は無言で俺にご飯と味噌汁の缶を渡してくる。

準備を終え、俺と集は外に出て行く。

「ゴメン..........壊」

「お前、謝ってばかりじゃねぇか」

「壊には、特に謝らないといけないから......その腕」

集は、俺の左腕を見る。

「やっぱりお前だったか。.......別に気にしてねぇよ.....と言いたいところだがはっきり言えばまだ許せねぇよ。お前はシオンを殺そうとした」

「..........言い返す言葉もないよ」

俺は左手で拳を握る。

「一発殴らせろ」

「えっ!?」

「あの時、言っただろ。俺はお前をぶん殴るって」

集は俺の方に体を向け、目を閉じる。
左の拳を今一度握りしめ、集を殴る........が、歌が聞こえ止
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